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森岡隆三が語る鳥取での1年半。
スタイル、予算、解任、そして今後。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byShin Watanabe
posted2018/09/09 08:00
森岡隆三は鳥取での監督経験で何を得て、そしてどう生かしていくのだろうか。キャリアはまだ始まったばかりだ。
選手の半分が去り、リクルートも自分で。
森岡の2018シーズンは、選手を獲得する作業から始まった。約半数の選手が鳥取を去ったからだ。
「ブラジル人選手以外は、トライアウトやセレクションの練習参加などで、自分の眼で見て、スキル面、メンタル面などを考慮し、強化部と共に、来てもらう選手を選んだ」
また、選手に対する年俸を抑えることも決まっていた。
バスで片道2時間かかるホームの試合での前泊費用、アウェーへの移動費(10時間以上かかるバスではなく、列車を使用)、練習後の食事提供など、選手の疲労軽減のための経費を捻出するための1つの策だった。
「月給10数万円の選手も少なくなく、毎食栄養管理が行き届いた食事の確保は難しい。練習後の1食であっても、しっかりとバランスの良い食事を摂ることが大事だと考えました。応えてくれたクラブには感謝です」
フィジカルトレーナーの必要性。
コンディションの管理を選手自身に任せることには限界があると、1年目はいなかったフィジカル・トレーナーも雇用し、毎日の排便や睡眠の質と量、練習後の疲労度などを選手から聞き取り、体調の「見える化」にも取り組んでいた。
「技術や戦術も重要ですが、それ以前に戦える身体作りにも注力した。昨季は僕自身がフィジカルトレーナーの役割も担ったけれど、やはり専門家が必要でした。移動環境もあり、シーズンが進むに従って、選手たちの疲労度は高まっていきました。
しかし監督が『大丈夫か?』と聞けば選手は誰しも『大丈夫です』と応えるもの。その言葉を信じた結果、負傷してしまうリスクもある。コミュニケーションの面も含め専門家の必要性を感じました」