酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カープの「締めの男」は中崎翔太だ。
江夏、大野、津田、永川と続く系譜。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/08/29 11:30
捕手の會澤翼(左)とともにガッツポーズする中崎翔太。広島の名だたるクローザーの系譜の一因となりつつある。
サファテ、ミコライオから中崎。
昨年、ソフトバンクでNPB記録の54セーブをマークし、MVPに輝いたデニス・サファテは広島で日本でのキャリアをスタートさせた。サファテはMLBでは0セーブ。全く実績はなかったが、広島で35セーブを挙げ、日本で投げる手ごたえをつかんだのだ。最強のクローザー、サファテは広島が出発点だったのだ。
サファテの後はミコライオがクローザーになり、中崎翔太へとつながる。
中崎も順風満帆ではない。昨年は不振に陥り、今村猛に一時期クローザーの地位を明け渡した。
クローザーは消耗が激しい。いつ潰れてもおかしくない過酷な環境で投げている。文字通り命を削って投げた記録だといえるだろう。
ことほどさように広島のクローザーは、山あり谷ありの物語で彩られている。カープファンにとって、歴代のクローザーを指を追って数えるだけで、格好の酒の肴になるのではないか。
最近の広島には“ほのぼの系”の選手が多い。
大瀬良大地、一岡竜司、今村猛の「カピバラ三兄弟」とともに、中崎翔太も「中崎パンダ」と呼ばれる、ほのぼのキャラではある。
しかし彼が担う責務は重たい。広島のリーグ3連覇が動かない中、中崎翔太が最多セーブのタイトルをとれば、晴れて「広島の締めの男」の系譜に名を連ねることになるだろう。