【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
千葉ジェッツが社員旅行する理由。
Bリーグで唯一無二となるために。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2018/08/23 07:30
今年6月には社員研修旅行でグアムに。1年間を労い、新シーズンへ向けて英気を養った。
観客動員などで追われる立場に。
何が一番怖いかといったら、自分がどうなるかということではなく、スタッフを守れるか。そう言いながらも、全方位で有言実行しながら、恐怖と戦いながらも常に結果を出すことに追われているからこそバイタリティは出てくると思います。
ジェッツの場合、売上高や観客動員数でトップを走っているので尚更です。追われる立場は簡単ではありません。例えば、観客動員数。昨季は15万5千人強でリーグトップでしたが、来年は沖縄に1万人収容のアリーナができ、川崎も1万人収容のバスケットボール専用アリーナ構想を立てています。
しかし、うちは5千人しか入りません。今はナンバー1ですが、2、3年後には中の上くらいになっているかもしれません。そうなった時には、「リーグナンバー1の観客動員数」という価値を使ってのアプローチ、いわば伝家の宝刀が使えないわけです。
現在リーグ1位のスポンサー売上も同様に、観客動員数ナンバー1のバリューを使って稼げているわけで、それが2、3位になったときに維持、またはさらに向上できるのか。ファンクラブ数やグッズ売り上げなど、様々な部分に影響すると予想されます。
箱の問題があるのでしょうがないと言えばしょうがないのですが、私は性格的にそう済ませられないタイプ。行きついた答えは……。
質を極限にまで高めていきたい。
アリーナ構想はネガティブ派と思われていますが、決して考えていないわけではありません。ただ、もう少し先になるかな、と。今、千葉ジェッツがやることは、このように考えています。
1万人収容のアリーナを作って7千人集客するよりも、5千人のアリーナで立ち見を含めて6千人入っている方が私は価値があると思っているんです。1万人のアリーナで観客が7千人だとガラガラに見える。招待やチケット単価を落として埋めるよりも、収益性の高いクラブを目指したい。
潜在的なファンを増やし、常に5千人満員にするという状況を作りたいと考えています。たとえチケット代が高くても会場に足を運びたくなるようなクラブになりたいと思っています。
ただ、それを実現するためには“質”が重要となるわけです。チームが弱い強いもそうですし、魅力的なバスケットをする。エンターテインメントやホスピタリティもそう。質を極限まで高めていくことがプライスレスにいざなう唯一無二の道なのではないでしょうか。