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本田圭佑の新天地オーストラリア。
現地の巨大な期待、そして裏事情。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byGetty Images

posted2018/08/10 11:00

本田圭佑の新天地オーストラリア。現地の巨大な期待、そして裏事情。<Number Web> photograph by Getty Images

FOXスタジオでのメディア会見では、ビクトリーのマスカット監督、会長、Aリーグチェアマンが並び、本田圭佑への期待の高さが見えた。

イニエスタやトーレスと並んで本田が。

 日本ではほとんど報じられていないが、本田の名前は、実はW杯ロシア大会の開幕前から、現地メディアでクローズアップされていた。同じく待望論が囁かれていたのがアンドレス・イニエスタであり、後にはフェルナンド・トーレスやクリスティアーノ・ロナウドが、「願望リスト」に追加されている。

 本田に対する期待の高さは、このような超一流選手と同列に論じられていることを考えても容易に理解できる。誤解を恐れず述べれば、本田はイニエスタやトーレスが日本で担うのと似たような役割を、南半球で担う形になる。

 本田が特別なゲストとして招かれることは、約3億円の年俸をメルボルン・ビクトリーだけでなく、オーストラリア協会(FFA)、そしてFOX SPORTSの三者が共同負担すると噂されていることからも窺える。

 しかし言葉を換えれば、このような手段を講じなければならないほど、オーストラリアサッカー界の焦燥感は強い。現状のままでは、世界との差はますます開いていくだけでなく、アジアの中でも取り残されていくからだ。

W杯の成績も長期低落中。

 オーストラリアサッカー界全体の地盤沈下は、W杯の成績を見ても明らかだ。

 オーストラリア代表は'06年ドイツ大会で、32年ぶりに本大会に出場。グループリーグで日本に勝利し、決勝トーナメント進出を果たした。

 しかし'10年以降の大会ではいずれもグループリーグで敗退したため、通算成績も2勝に留まっている。3勝目の壁はロシア大会でも超えられなかった。

 もちろん“サッカールーズ”は、予想以上に健闘したともいえる。

 そもそも昨年11月には、4年間チームを率いてきたアンジェ・ポステコグルー監督が突然辞意を表明するという事件も起きている。しかも今大会はくじ運に恵まれず、フランス、デンマーク、ペルーと同組になった。

 だが実際には、優勝したフランスを最も苦しめたチームの1つになったし(試合結果は1-2)、2戦目のデンマーク戦では1-1の引き分けに持ち込んでみせた。グループリーグ最終戦でペルーに0-2で敗れるまでは、決勝トーナメント進出の望みさえ残していた。

【次ページ】 躍進の陰には監督交代があったが。

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