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J空白県の青森ダービーに思う、
英雄・柴崎岳と津軽vs.南部の誇り。
posted2018/08/03 10:30
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph by
Yasuo Kawabata
青森にいる。ねぶたを見に来たわけではない。サッカーである。ダービーマッチにやってきた。
ちなみに、とりあえず「ねぶた」と書いたが、弘前では「ねぷた」という。五所川原では「佞武多」。それぞれにライバル意識も強いから、地元の人と話すときには気をつけないといけない。五所川原の駅前で口にすべきは、「あの異様に高い建物は何ですか?」ではなく、「さすが立佞武多。立派ですね」だ。
そこには地域の歴史と誇りが詰まっている。尊重しなければならない。
ヴァンラーレ八戸vs.ラインメール青森。
さて、サッカーの「青森ダービー」。
「?」という人のために簡単に説明すると、青森県内にはJリーグ入りを目前にしているチームが2つある。ヴァンラーレ八戸とラインメール青森である。
先行していたのはヴァンラーレ八戸で、2015年にはJFLで準優勝。「年間4位以内」の昇格条件をクリアした。ところがスタジアム基準を満たせず、ライセンスが不交付。J3に入ることはできなかった。
それでも翌年、市内沿岸部に多賀多目的運動場「ダイハツスタジアム」が完成。これで「5000人以上収容」の条件をクリアしたのだが、今度は成績が7位でNG。さらに昨季も5位と、あと一歩のところまで迫りながら昇格を果たせないまま現在に至っている。
そこに現れたのがラインメール青森である。2016年にJFL入りすると、2年目の昨季なんと準優勝。J3ライセンス未取得だったため昇格はできなかったが(目下申請中)、スタジアムはすでにある。さあ、青森県初のJクラブになるのはどっちだ?――ざっくり言えば、そんな状況なのである。
ねぶた同様、「ちなみに」と続ければ、こちらにも地域間ライバル関係がある。津軽(青森)対南部(八戸)である。江戸期以前からの対立だ。