月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
代表監督とSMAP解散の報道は同じ?
スポーツ紙を動かすのは誰なのか。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2018/07/31 07:00
U-21代表監督と兼任になる森保一新監督。初陣は9月7日のチリ代表戦。
観測気球役を果たすスポーツ新聞。
「観測気球を上げる」という言葉がある。政治家や星野仙一がよく使った手法だ。最初にマスコミにぶちあげて世間の様子を見る。世論の反応が悪くなければ、そこから本格的に動き出す。
今回の次期サッカー日本代表監督情報も、情報提供と同時に「こうなればよい」という協会の中の意見も反映されたのではないか。協会にもいろいろな意見があった。そんなときスポーツ紙は有効だった。
もちろん、状況が刻々と変わる中で、どの時点での情報を持っているかで各スポーツ紙の色合いが異なっていたのもあろう。
たとえば、「西野続投」を報じていた日刊スポーツは西野退任が明らかになったときでも強気だった。
「首を縦に振らなかった。ベルギー戦の翌日、西野監督は田嶋会長から契約延長の打診を受けた。(略)日本協会は、年俸2億円の2年契約という提示もできないまま最有力候補を逃した」(7月6日)
西野氏が断っただけ、誤報ではないという自信の説明である。
最終的に森保監督の就任が決まったが、各スポーツ紙を読むと協会の監督人事が揺れていた様子がわかる。
森喜朗の「猛暑=チャンス」論。
さて、サッカーのあとは五輪の話題にふれたい。
東京五輪までちょうど2年となった7月24日、日刊スポーツに森喜朗会長(東京五輪・パラリンピック大会組織委員会)のインタビューが載った。
『森喜朗会長が熱く語る この猛暑がTOKYO成功の「カギ」になる』(7月24日)
まずリード文でびっくりした。
「前代未聞の暑さが目の前にある厳しい現状を、チャンスに変えるべきとの考えを示した」
この暑さがチャンス? ホントに森喜朗氏はそんなこと言ってるのだろうか。すると、
「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない」
ホントに語っていた。