藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉がW杯で得た成長のヒント。
森保“兼任”ジャパンが進むべき道。
posted2018/07/31 17:00
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph by
Shigeki Yamamoto
フランスの優勝で幕を閉じた2018W杯ロシア大会。その余韻も残る7月26日、日本代表監督に森保一氏の就任が決定した。オリンピック代表監督を兼任する形で2022W杯カタール大会を目指すことになる。「年代間の融合をはかり世代交代を進める」というコメントのとおり、日本代表に新たな風を吹かせてほしい。
若手選手の台頭は、日本代表の強化にとって最も重要なポイントになる。
これまでオリンピック代表の強化で多くの若手と時間をともにし、今後もA代表と並行してチームを指揮する森保監督には大きなアドバンテージがある。長期的な視点で強化が進むことを願っている。
新たに出発する日本代表にとっては、ひとつひとつの積み上げが重要だ。今回のW杯における各国の戦力やその戦い方から見えてきたスタイルは、日本サッカーの成長へつながるヒントとなるはずだ。
日本は現時点でのベストを尽くした。
今大会の日本代表は、現状におけるベストな戦い方を見せてくれた。特にベスト8進出をかけたベルギー戦では、2点のリードを奪う展開となり私自身も興奮した。結果的には2-3と逆転負けしてしまったが、その戦いぶりは日本サッカーの方向性をはっきり示した。
組織的な守備をベースにテンポよくボールを回しゲームを支配する。その精度を高める作業に徹すること。それが日本人の特徴を生かす道だ。今回は見ることができなかった“その先”の戦いに進む日を心待ちにしている。
さてそのロシアW杯、ベスト8から先の戦いはハイレベルなものだった。グループリーグやベスト16とは比べ物にならないほど、プレー強度は高まり、戦術も高度なものだった。相手のストロングポイントを徹底的に消し、自分たちの良さが引き立つシステムにするなど、試合中の戦術変更も見られた。
組織力での戦いが主流だった一方、選手たちの個の能力もますます高くなっている。大きな個があるからこそ、組織がより強固なものになる。そう表現する方が正しいかもしれない。