月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
代表監督とSMAP解散の報道は同じ?
スポーツ紙を動かすのは誰なのか。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2018/07/31 07:00
U-21代表監督と兼任になる森保一新監督。初陣は9月7日のチリ代表戦。
情報提供者の「意見」が紙面を変える。
スポニチをよく読むと、
「日本協会は1次リーグを突破した西野朗監督(63)に続投要請する方向で調整を進めていたが、並行して外国人監督もリストアップ。1勝1分け2敗で、退場者を出した10人のコロンビアにしか勝てなかった結果を疑問視する声があり、風向きが変わった。」(スポニチ)
とある。
日刊スポーツも外国人監督に関しては「海外から売り込みが100人を超える」とし(7月5日)、
「100人の中には、元ドイツ代表監督クリンスマン氏、元イタリア代表監督のドナドニ氏の名前も入っているという」
と書いている。
つまり、日刊スポーツもスポニチもデイリーも「西野続投」「外国人監督」のどちらの情報もおさえつつ、最終的な見解(一面)が違うのだ。
となると、それぞれの情報提供者の考えが異なっていると考えていい。もっと言えば各紙が取材したサッカー協会の中の人の「意見」がそのまま紙面に反映されているのだと思う。情報戦なのである。
「誰か」の書いてほしい情報では?
この手の報道には既視感があると思ったら、SMAPの解散報道と同じだ。
あのときもスポーツ紙はSMAP解散を連日報道したが、「スポーツ紙を舞台に情報戦がおこなわれているのではないか?」という前提で読んだらとてつもなく面白かった。
たとえば「一刻も早くメリー副社長に直接謝罪するしかない。それがグループ存続への一歩になる」 (スポーツニッポン・2016年1月18日)という言葉が紙面に載っていた。
これなどは記者の言葉というよりも「誰か」の思いを紙面で伝えていると考えたほうがわかりやすい。
ときにはスポーツ紙を使って「書いてほしい情報」を流す場合もあるのではないか。