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阪神はなぜ、広島に勝てないのか。
両軍に見る育成スパイラルの差。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2018/07/27 11:50
6月は打率3割5分8厘、3本塁打、20打点と好調だった陽川だが、7月は26日現在で、打率1割7分6厘、1本塁打と苦しんでいる。
カープにはここ3年連続負け越し。
一軍の舞台で、やってはいけないのは、後追いになることです。相手の攻め方を追いかけてしまうことです。インコースを攻められて、次はそこを待つと、今度は外ばかり。その繰り返しになることが一番いけない。逆に、先、先と読んでいければ打てるようになるはずです。
二軍では失投があるので、それを仕留めればいいのですが、一軍ではそうはいかない。巨人・菅野のようなクラスになると、1試合に1球の失投をミスショットせず打たなければいけない。それも経験なんです。その経験を積むためにはやはり一軍のグラウンドにいて、打席に立たなければならない。
現在(7月26日現在)、タイガースは借金が6つで5位ですが、これは、そっくりそのまま広島に負け越している数です。今年は巨人にも大きく負け越していますが、カープにはここ3年連続で負け越しています。タイガースとカープはやろうとしている野球は似ているように見えるのですが、それをきちんとやれているのがカープで、その差が出てしまっている気がします。
選手を使い切れていない印象が。
カープは2016年に4番打者不在で優勝しました。田中広輔、菊池涼介、丸佳浩と、中心になる選手の役割がはっきりしていて、その間に4番となる鈴木誠也が育ってきた。育成のスパイラルがすごくうまくいっている印象があります。
ところが、タイガースは誰がどういう役割を果たすのかが固定できていない。選手を使い切ることができていない印象があります。育成の循環が悪く、その違いがチームとしてのカープとの差にも見えてしまいます。
もちろん、一気に改革路線、育成路線へと方針転換しただけに時間のかかる作業ではあると思います。そのために金本知憲監督も2年契約を満了した昨年オフに、新たに3年契約を結んだのでしょう。
バタバタすることはないと思いますが、タイガースという球団は借金が2ケタになったり、昨年よりも順位が後退して、Aクラスを逃すようなことになれば、マスコミをはじめ、周りが騒ぎ出す球団です。
今シーズンも残り、およそ60試合。金本阪神にとって、ここからが正念場でしょう。