バレーボールPRESSBACK NUMBER
「Vリーグは存亡危機」と警鐘も。
新方式に選手はどう向き合うべき?
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJapan Volleyball League Organization
posted2018/07/25 16:30
6月9日のプレーヤーズミーティング・若手研修会では、男女各カテゴリーの選手が出席した。
「どの立場でも意見が言えるように」
星谷が疑問を抱いていたのはチケットの価格設定だという。通常、試合の開催される会場にはコートサイドの四方にスタンド席が作られているが、中には記者席の後ろに設置された観客席もある。
「あの席も、ほかのアリーナ最前列の席と同じ値段だったとしたら、それはないんじゃないかなって思っていたんですよね」
改善できるのであれば改善したいと語った。
「今日、説明会でいろいろな話を聞いて、僕らが当事者であることをもっとみんなが認識しなければいけないと痛感しました。そして、そういう環境を作っていこうというVリーグ機構の意思もわかりました。選手にできるのは、どんな立場の人でも意見が言えることだと僕は思います。“言える”というのは、組織の中で臆することなく発言できるということ以上に、自分の考えを持っているか、その考えを言葉にして伝えることができるか……。
バレー選手って毎日の練習と、試合に勝つことに精いっぱいだったから、自分がなぜバレーをしているのか、この先どうしたいのかを考えていない人がすごく多いと僕は感じています。そういう人が減るよう、これまでも周囲の選手とは話してきたし、これからももっと話していきたいと思います」
語気を強めてきっぱりと語った。
「言われなきゃ一生やらない人も」
今回のミーティングには参加していなかったが、2000年に地域密着型スポーツクラブとしてビジネス化の先駆者となった堺ブレイザーズの千々木駿介にも別の機会に話を聞いた。千々木には毎試合前、観客席を見上げる習慣がついている。客の入りを確認するためだ。
「そりゃあ気になりますよ。切実です。入団した当初からよく同期の伊藤(康貴・2018年5月に引退)と話したのは『自分らがブレイザーズに貢献するためには、バレーボールだけやっていちゃだめだ』ということ。こういうサービスをやろうとか、サポーターの皆さんに向けてこういう振る舞いをしようとか、よく話し合っていました。
僕は、そういうのは自分で考えてやるものだとずっと思っていたんですが、でも、言われなきゃ一生、やらない人もいるんですよね。全員が同じような高い意識を持ってできるかと聞かれると、こればかりは何とも言えません」