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木村沙織と石川祐希の共通点とは。
身体能力に頼らない指導者の重要性。
posted2018/07/17 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
日本バレーボール協会は7月10日、28、29日に千葉・船橋アリーナで行われる、韓国との国際親善試合に出場する男子日本代表メンバー14人を発表した。
その中には、怪我から復帰した石川祐希も名を連ね、エースの復活が期待される。
石川が2014年、日本代表に初選出されたときからチームの主軸として活躍してきたのは周知のことだろう。大学生活と並行して、イタリアのプロリーグでもプレーし、大柄な選手がそろう中で着実に実績を重ねてきた。
石川を支えるのは、巧みなコースの打ち分けなど技術の高さにある。どのようにして身につけたのか、気になって尋ねたことがある。
すると石川はこう答えた。
「小中学生のときは背が高くなかったんです。その中でどうスパイクを決めるか、どうすればブロックにかからないかを考えていく中で、コースの打ち分けに取り組んだりしていました。それが今になっても生きていると思います。高さがなかったから、先に技術を覚えたんですね」
同年代において「高さ」という武器があれば、ブロックの上から打つなどすれば決まりやすい。それができなかったため、打ち方を試行錯誤し、打ち分ける術を習得していったという。
木村沙織も長身と技術を兼ね備えていた。
石川の話で思い起こされたのが、女子日本代表の主軸として長年にわたり活躍した木村沙織だ。
木村の身長は185cmと、日本代表の中でトップクラスの高さを誇っていた。長身選手は通常攻撃面でその威力を発揮するが、木村はアタックのコースを打ち分けたり、フェイントを織り交ぜたりするなど高さに頼らない攻撃も武器としていた。また、守備面でもサーブレシーブの役割もきっちり担い、秀でた力を見せた。
オールラウンドに高い技術を得た要因を、指導した下北沢成徳高校の小川良樹監督が語ったことがある。
「中学生になった頃は身長が高くなかったんですね。162~163cmくらいだったでしょう。他の選手のように、もともと大きかったわけではありません」
その分、小学生の頃から、レシーブの練習を相当積んでいたという。また、「大きくなかったため、身体の動かし方を練習の中で身につけていました」とも指摘する。