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10代投手は年間50イニング制限。
結城海斗が挑む米マイナーって?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2018/07/21 17:00
米大リーグのロイヤルズとマイナー契約を結んだ結城海斗投手。右は大屋博行国際スカウト。
19歳での「プロ野球デビュー」。
前出のアルトゥーベは契約してすぐに17歳になり、1年目は母国ベネズエラの夏季リーグで過ごし、19歳の半ばまで米国のルーキーリーグで過ごした。セベリーノも18歳になった年は母国ドミニカの夏季リーグで過ごし、19歳の時にようやくルーキーリーグからローA級に昇格している。
結城がわざわざ中南米での夏季リーグに参加する可能性は少なく、普通ならキャンプ地でのルーキーリーグを経た後、19歳になったら米国各地に点在するマイナーリーグ球団で「プロ野球デビュー」することになる。
マイナーリーグ球団の多くは独立採算制を取っていて、メジャーリーグ球団と「選手育成契約」なるものを結んで選手の供給を受ける(監督やコーチももちろん、メジャー球団から派遣される)。当然、シーズン中だけ支払われる給料や食費(ミール・マネー)もメジャー球団からの支給になる。
給料は階級が上になればなるほど高くなるが、AAA級でも月給2100ドル(約23万円)を少し超える程度だと言われており、底辺の階級では1000ドル(約11万円)ぐらいにしかならないという。
ちょっと前までマイナーリーグのことを「ハンバーガー・リーグ」と呼んだが、それは給料に準じたわずかな食費しか支給されないことが理由だ。彼らにとっては球場で出される軽食=朝食用のシリアルやピザでさえ貴重な食料になる。
住まいは安アパートや安ホテルで。
もっとも、結城はしばらくの間、そういう心配をする必要がない。キャンプ施設には朝夕の食事が用意されているはずだし、近年はどの球団もその辺りの栄養管理をやるようになった。
もちろん、そこに味噌汁や焼肉定食、うどんなどが並んでいるわけではないので、サンドイッチやサラダに飽きてストレスになる可能性はあるのだが、施設のあるアリゾナ州フェニックス周辺には日本食レストランも多いので、たまにはそういう場所で食のストレスを解消することもできる。
10代の選手たちの多くは安ホテルか安アパートにルームメイトとシェアすることが多く、言葉が通じない内はその辺りもストレスになりそうだが、スマホの翻訳ソフトでコミュニケーションを取れば何とかなるだろう。