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10代投手は年間50イニング制限。
結城海斗が挑む米マイナーって?
posted2018/07/21 17:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Kyodo News
また1人、日本の前途有望な若手選手が海を渡ることになった。日本人としては史上最年少の16歳でロイヤルズとマイナー契約した結城海斗投手である。
AP通信によると、結城の契約金は32万2500ドル(1ドル110円換算なら約3548万円)だという。同じような年齢でマイナー契約する中南米出身選手の多くと比較してもそん色ない。
25歳未満の外国人選手は、現行のメジャーリーグ労使協定下ではマイナー契約しか結べない。つまり、立場としては昨秋の大谷翔平(現エンゼルス)と同じだが、結城は日本のプロ野球でプレーしていたわけではない。
なので、その獲得に入札金の2000万ドル(同22億円)は必要ないし、契約金も大谷の230万ドル(同2億5300万円)の7分の1程度だから、メジャー球団にとっては適当な「投資額」だろう。
甲子園よりマイナー契約という形。
そして、結城のマイナー契約は、将来有望な16歳が他にもいるならば、日本は有望なアマチュア野球選手を「青田買い」する絶好の場所になり得るということを証明している。少なくともこの「メジャー挑戦」は、「甲子園を目指すのか、それともメジャーリーグを目指すのか」という点において、とてもユニークな視点をもたらしている。
近年になって現役のプロ野球選手を含む多くの有識者が、選手の怪我や疲弊を観点に高校野球の大会運営法や勝利至上主義を批判してきた。それら高校野球の構造上の問題で「プロ野球選手、もしくはメジャーリーガーになりたい」という夢が10代半ばで潰えるぐらいなら、「甲子園」を捨て、メジャーリーグ球団とマイナー契約した方が子供のためにはベターだ、と前向きに捉える人たちがいても不思議じゃない。
そもそも、たとえ高校野球を経験しても日本のプロ野球選手になれるとは限らないし、野球関係の仕事に就く可能性だって大きくない。だからこそ、今回のように「野球の才能があれば、中学球児でもメジャーリーグ球団と3000万円以上の契約を交わせる」という事実が出来たのは大きい。