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10代投手は年間50イニング制限。
結城海斗が挑む米マイナーって?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2018/07/21 17:00
米大リーグのロイヤルズとマイナー契約を結んだ結城海斗投手。右は大屋博行国際スカウト。
アルトゥーベも16歳でマイナー契約。
日本からは初めてのことだが、16歳の少年がメジャー球団とマイナー契約をすること自体は、とても日常的なことである。その圧倒的多数はドミニカやベネズエラなどの中南米出身の選手だ。
たとえば昨季のア・リーグ最優秀選手であるホセ・アルトゥーベ二塁手は2006年、結城と同じ16歳の時にアストロズと契約金1万5000ドル(約165万円)で契約している。田中将大投手の同僚で現在ア・リーグ最多の14勝を挙げているルイス・セベリーノ投手は2011年、17歳の時にヤンキースと22万5000ドル(約2475万円)で契約している。
もちろん、マイナーリーグからメジャーリーグまでの階段を昇っていくのは簡単なことではない。マイナーリーグは上からAAA(日本では3A=スリー・エーなどと読むが、正しくはTriple A=トリプル・エー)級、AA(ダブル・エー)級、ハイA(アドバンスドと呼ぶこともある)級、ローA級、ショートシーズンA級、ルーキーリーグと6階級もあるからだ。
AA級に上がればメジャー昇格は近い。
最大の難関はシングルA級からAA級に上がる時だろう。ドラフトで指名された米国やプエルトリコの有望株も、結城のようにドラフト外で入団した外国人選手も、ルーキーリーグやショートシーズンA級、ハイA級までは比較的簡単に昇格できるが、AA級に上がるまでに9割近くの選手がカット=解雇される。
違う言い方をすれば「AA級まで上がればメジャー昇格の可能性はいつでもある」ことになる。実際、AA級から2階級特進でメジャーに昇格する選手は少なくない。
16歳でマイナー契約した外国人選手たちは通常、ルーキーリーグに配属される。結城もこれからアリゾナ州サプライズにあるロイヤルズのキャンプ施設でトレーニングを積み、同球団の育成部門のコーチたちの監視下で体力作りと語学(もちろん、英語だ)、そしてリーグ戦をする中で野球スキルの習得に励むことになる。