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大谷翔平の凡打に見る後半戦の鍵。
さらなる1/100秒単位の時間短縮。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/07/18 08:00
13日のドジャース戦では左腕アレキサンダーから二塁打を放つ。後半戦に向けた光明となるか。
“左肩が投手に見えてしまう”凡打。
102打数33安打、打率.324
36打数6安打、打率.167
上が右投手、下が左投手との対戦成績だが、左投手に苦労している、と言う訳ではない。ここまで、大谷の凡打には投手の右・左に関係なく共通点がある。
大谷の打撃型は美しいばかりのインサイド・アウトのスイングにあるが、前半戦の凡打は“左肩が投手に見えてしまう”ものが多かった。わかりやすい表現をすれば開きが早い。メジャー3089安打のイチローの言葉を借りれば「確率が悪くなる打者の型」と言うことになる。
大谷の最大の長所は投手の左右に関係なく生まれる逆方向への長打だ。体が開かないから出来る技が、今、何ゆえに、早く体が投手に正対してしまうのだろうか。その原因を読み解くヒントは“タイミング”にあった。
イチローも取り組んだ時間短縮。
開幕を迎えるにあたり、大谷が右足をあげるスタイルからほぼすり足で投球を待つタイミングの取り方に変えたことは記憶に新しい。「1・2ーの・3」で投げる日本投手のタイミングの取り方から「123」で投げるメジャースタイルの投手へ対応するために取り入れた時間短縮の原理である。
この変化は珍しいものではなく、日本人打者ならば全員が通った道である。あのイチローでさえも1年目の春キャンプ中に振り子打法と表現された右足の上げ方を小さくした。イチローはその際に「アメリカの投手のタイミングに対し余計な部分を省いた」と表現した。大谷がこの春に取り組んだことと同じである。
大谷は結果、4月のロケットスタートに成功した。44打数15安打、4本塁打、12打点、打率.341。だが、それ以降は94打数24安打、3本塁打、10打点、打率.255。いい打撃と悪い打撃を繰り返している。
凡打の大半で体が開いてしまう原因は、間合いの早いフォームで投げてくる投球に対し、未だに差し込まれることが多いからだと感じる。差し込まれるから、タイミングを早くとる。そこで緩い球を投げられるから体が開く。5月以降はこの流れの中にいる。