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日本女子バレー若きエース候補。
黒後愛が“黒後愛”の殻を破るとき。

posted2018/07/10 16:30

 
日本女子バレー若きエース候補。黒後愛が“黒後愛”の殻を破るとき。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

シニア代表の本格的なスタートとなった今季。ネーションズリーグで黒後は中盤以降の試合でほぼフル出場を果たした。

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Shigeki Yamamoto

 少し伏し目がちに「うーん」と考え込んだかと思えば、目を細め、顔をくしゃくしゃにして楽しそうに笑う。

 黒後愛、20歳。

 女子バレー日本代表の若きエースとして期待を寄せられ、5月から5週に渡り世界各地で開催されたネーションズリーグでも中盤以降はほぼフル出場した。シニア代表として本格的なスタートとなった今季の始まりとしては十分に及第点をつけられる活躍なのだが、試合の話になると、また表情が変わり、一度天井を見上げ、少し、小さな声で言った。

「注目してもらえることはありがたいし、決めなきゃ、決めたい、って思うんです。でも私、何もしてないなぁ、って。前はもうちょっと、ちゃんと結果を残せていた気がして。だから、ライバルは昔の自分なのかな」

 春高バレーで連覇を遂げた下北沢成徳高での3年間は、将来を見据えたチームのコンセプトの1つとして、高いトスを高い打点から思い切り打ち抜く。そんなイメージが先行するせいか、オープンバレーを得意とする印象が強い。

高校入学当初は「高いトスを打て」。

 だが高校入学当初は違った。

「サーブレシーブをしてから中に切れ込んだり、速いトスを打つことのほうが得意でした。でも小川(良樹)先生から『そういう攻撃もいいけれど、今は高いトスを打て』と言われて。言葉巧みに誘導されて(笑)、高いトスを3年間打ち続けました」

 在学中はそれが普通で当たり前。ただそう考えて打ってきたが、卒業してから訪れた母校で、小川監督にその理由を聞いた。

「技が先行する選手は何も考えないでもプレーができる。そうなると自分の体を壊しがちなんだよ。体のこの部分を使ってこう打つとか、しっかり考えないといけないし、自分が知らないうちに体も変化する。愛は、体を壊せる選手だから、そうなっちゃダメだ」

【次ページ】 「選択肢を勝手に狭くしちゃっている」

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