スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER

エディーさんが沖縄で語ったこと。
「日本で評価すべきは若手の成長」 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byJun Ikushima

posted2018/07/11 11:00

エディーさんが沖縄で語ったこと。「日本で評価すべきは若手の成長」<Number Web> photograph by Jun Ikushima

エディー・ジョーンズはラグビーの本質を沖縄の高校生に伝えることで、一瞬で彼らの態度を変えたのだ。

「堀江が輝きを取り戻し、リーチも状態はベスト」

 エディーさんは、昨今の日本代表を前向きに評価している。

「6月のテストマッチでは、かなりの進歩が見られました。イタリアとの2戦目には敗れましたが、日本にとってはサプライズ的な状況が生まれていたと思います。イタリアが予想以上にショートサイド(スペース、ディフェンスの人数とも少ないサイド)をアタックしてきたために、ラッシュ・ディフェンスが出来なかったのでしょう。

 日本で評価すべきは若手の成長です。おそらく、サンウルブズでプレーしていることがプラスに働いているのでしょう。サンウルブズについては評価が分かれているようですが、テストマッチと同等とは言わないまでも、プレーすることで経験値を積むことができます。W杯に向けては好材料ではないですか」

 それに加え、2015年のエディー・ジャパンでプレーしていた選手たちも精彩を取り戻してきたとエディーさんは見る。

「6月には、堀江が久しぶりに輝きを取り戻していました。それにリーチもベストに近い状態に戻ってきているのは好材料でしょう。イングランドとしては気をつけなくてはなりません。

 BKではSOの田村の判断力が向上し、WTBの福岡はチャンスをモノにできる能力が上がっています。そして、もっとも成長しているのはFBの松島ですね。キックリターンでディフェンスの弱点を素早く見つけ、それをスピードとパワーでチャンスに変えていました」

 日本の強化は順調に進んでいるように見えるというが、ロックとフランカーのサイズ、右ウィングにはまだ改善の余地があるという。

2019年11月2日の18時を空けておいてください。

 11月17日のテストマッチに、両軍がどんな陣容で臨むか極めて興味深い。

 沖縄での高校生のレッスンの終わりに、エディーさんはこんなメッセージを残していた。

「ラグビーはコミュニケーションの競技であり、社会性が必要とされ、しかもクリエイティブなゲームです。ぜひとも、ラグビーを愛して欲しい」

 そして最後にこう付け加えた。

「2019年11月2日の18時。この日の予定は空けておいてください。イングランドが決勝を戦う日ですから」

 この言葉を実現させるため、準備が続いていく。

BACK 1 2 3
#エディー・ジョーンズ
#ラグビーワールドカップ

ラグビーの前後の記事

ページトップ