スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
エディーさんが沖縄で語ったこと。
「日本で評価すべきは若手の成長」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJun Ikushima
posted2018/07/11 11:00
エディー・ジョーンズはラグビーの本質を沖縄の高校生に伝えることで、一瞬で彼らの態度を変えたのだ。
「西野監督はポーランド戦で批判されましたよね?」
「メディアとの関係は、コーチングの仕事の一部ですが、愉快ではないこともありますね。日本でもそうでしょう。サッカーのW杯でベスト16に勝ち残った西野監督は、ポーランド戦の采配で批判されましたよね?
でも、日本がグループステージを突破したのはわずか3度目のことなんですよ。その業績を評価しないのでしょうか。私の仕事は様々な雑音を排除して、コーチングの仕事にフォーカスすることだけです」
6月のテストマッチシリーズ、1勝2敗と負け越しはしたものの、エディーさんは南アフリカとのシリーズでは収穫の方が大きかったと語る。
「3試合の合計得点は、イングランドの方が1点勝っていますし、何より若い選手たちが経験を積めたことが大きいです」
実は昨年の11月、エディーさんは「2018年の2月から始まるシックスネーションズでは、チームをあえて混沌とした状況にしたい」と話していた。
「W杯で優勝するためには、選手、そしてコーチたちが経験値を上げなければなりません。シックスネーションズでは私が一歩退き、コーチの役割を拡大しました。その結果が5位でした。
いま6月のテストマッチを終えて、昨年の同じ時期に比べて選手、スタッフともに後退を余儀なくされています。しかし、それは必要な苦しみです。ここを乗り越える発想、スキルを身につけられれば、チームはより強くなれるはずです」
日本との試合も11月17日に控えている。
おそらく、厳しい状況を経て、「エディー・イングランド」は再生するに違いない。
W杯に向けて重要になるのは、11月のテストマッチだ。イングランドにとって、極めて厳しい日程が組まれている。
11月 3日 南アフリカ
11月10日 ニュージーランド
11月17日 日本
11月24日 オーストラリア
「どの国もトゥイッケナム(イングランドの本拠地)で勝とうと躍起になってくるでしょう。特に日本はイングランドにはどうしても勝ちたいはずです」