ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
栗山監督が、ポーランド戦の西野采配
に共鳴した。覚悟が宿った決断とは。
posted2018/07/06 17:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Kyodo News
畏敬の念を、抱いていた。
国を、チームを預かる者同士だからこそ、共鳴は生まれたのだろう。北海道日本ハムファイターズ栗山英樹監督は、何の混じり気もない澄み切ったリスペクトを1つのタクトへ向けた。
日本代表が敗退し、国内での盛り上がりが終焉を迎えつつあるサッカーのワールドカップ、ロシア大会。国内のみならず、世界でも1つの決断が喧々諤々の議論を呼んだ。6月28日、グループリーグ最終戦のポーランド戦。1点ビハインドの状況で、決勝トーナメント進出のために選んだパス回しである。
同じく決勝T進出の可能性を残していたライバルのセネガルよりも警告数が少なかったため、その「フェアプレーポイント」を計算した上での戦術で16強入りした。直後は様々な意見、主張が飛び交った。栗山監督も、その試合を注視していた1人だった。迷いなく、持論を明かした。
「監督って、みんな同じだと思う」
「覚悟を感じた。あの試合、その裏でやっていたセネガルが1点取ったりとかして、負けていなかったら、日本は(グループリーグ)敗退だったわけでしょ。そうなったら世の中の批判は……。その責任を取る、背負う覚悟が、西野監督にはあったと思う。すごい覚悟だったんだと思う」
現場、チームの命運を握る最高責任者。同じ監督を生業とする同志として、心を寄せて試合の最終盤を目に焼き付けていた。心を重ね合わせていた。そして、西野監督の胸中に思いを巡らせていたのだ。
「西野監督もそうだと思うけれど、監督って、みんな同じだと思う。負けるのは、好きじゃない。きっと『野球の神様』と一緒で『サッカーの神様』もそれは好きじゃないと思う。でも、西野監督はあの選択をした。あの決断に、すごい覚悟が宿っているんだ、と感じた」