プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の二軍で耐えて学んだ4カ月……。
ヤングマン初登板初勝利の舞台裏。
posted2018/07/06 08:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
「彼は絶対に日本で成功するよ」
2013年の開幕直後のことだ。当時巨人の指揮を執っていた原辰徳監督が、こう太鼓判を押したのは現DeNAのホセ・ロペス内野手だった。
ロペスは2004年にシアトル・マリナーズでメジャー昇格し、'06年にはレギュラーに定着してオールスターにも出場。その後も6年間、二塁と三塁で定位置を守ったバリバリの選手だった。だが、その後は打撃不振からコロラド・ロッキーズなど4球団を渡り歩いたがパッとした成績を残せずに、'13年1月に巨人と契約して日本球界にたどり着いた。
実は来日1年目のオープン戦でも打率2割2分で本塁打も1本と低迷したが、それでも原監督は開幕から先発で起用したのである。
「もちろん技術的にはしっかりボールを呼び込んで打てるし、変化球についていけるという判断があった」
なぜ原監督は成功を確信していたのか?
そのとき原監督が言っていたことだ。
「ただ、一番は彼が日本で成功したいと思う意欲がもの凄く強いってことなんだ。一度はマリナーズでレギュラーを取るところまでいった選手だけど、そこからうまくいかなくて日本にやってきた。彼は僕に『自分はとにかくここが最後の場所だと思っている。だから何かあったら遠慮なく意見を言って欲しい。成功するためならどんなことも我慢するし、トライする』ってわざわざ言いにきたんだ。
プライドを捨てて日本の野球を学び、日本のシステムに適応しようとしている。だから慣れるのも早いと思うよ」
その後のロペスの活躍は周知の通りだ。