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福西崇史「乾、大迫と岡崎が光った」
セネガル戦で見えた攻撃の新要素。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byToshiyuki Takigawa/JMPA
posted2018/06/25 17:00
1ゴール1アシストの乾貴士、岡崎慎司に本田圭佑、そして大迫勇也……。攻撃陣にバリエーションが出たのは大きな収穫だ。
状況に応じたポジショニングが巧み。
この日の乾は、特にポジションの取り方が巧みでした。左サイド2列目を任されている乾ですが、中央に入り込んでいくか、左サイドに張って仕掛けていくかを使い分けて、マッチアップしたDFに優位に立っていました。クロスバー直撃のシュートも大迫とのコンビネーションでつくったものでしたからね。
左サイドの連係でいうと、サイドバックの長友が積極的に高い位置を取りにいきましたね。そのとき、乾は少し下がったポジションを取るように心がけていたのだと思います。
これがうまく形になったのが1点目のシーン。柴崎からのロングパスを長友が受けて、その内側からペナルティーエリア左に入り込んだ乾が巧みな切り返しからフィニッシュしました。そのタイミングの良さがゴールに直結しました。
そして派手ではないものの価値があったのは、“ここでボールを取られたらカウンターを浴びる”というところで何度もファールをもらってプレーを切っていたこと。これによって日本の選手はひと息つくことができた。
守備では2失点目で相手右サイドバックに対するマークが遅れてしまいましたが、試合を通してプレスバックの意識は持ち続けていました。
大迫と岡崎の2トップは相性的にも合う。
あとは大迫と岡崎の2トップもよかったですよね。個人的には以前から“もっと2トップを活用してもいいのでは”と感じていましたが、得点という明確な結果が出てその思いが強くなりました。裏を狙ってスペースに飛び込める岡崎と、ボールを収めて攻撃に幅広く関与できる大迫は、相性的にも合います。乾のアシストから本田が奪った2点目で、お互いの良さが出ましたよね。
まず大迫が相手を背負った状態でボールを収めつつターンしてクロスを送る。そこで岡崎が競り合うことで相手DFとGKが交錯する状況になった。そして乾の折り返しに岡崎がもう一度“潰れる”ことで、最終的に本田がフリーになれましたね。