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前回王者の鬼門、初戦で完封負け。
ドイツも“W杯あるある”の餌食に? 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2018/06/21 08:00

前回王者の鬼門、初戦で完封負け。ドイツも“W杯あるある”の餌食に?<Number Web> photograph by Getty Images

メキシコの勇敢な戦いぶりがあったとはいえ、前回王者らしからぬ戦いぶりを見せたドイツ。連覇に向けて逆襲なるか。

現行の32カ国制だと蘇ったケースはない。

 勝利を収められなかった4チームの末路を辿ると、スペイン(2014年大会)、イタリア(2010年大会)、フランス(2002年大会)がグループステージで早期敗退。唯一、1990年大会のアルゼンチンだけが、立て直して決勝まで辿り着いているが、西ドイツに敗れて準優勝に終わっている。

 また当時は出場国が24チームで、アルゼンチンはグループBで3位に終わりながらも、成績の良い3位チームの上位4つに入り、なんとかグループを突破したという経緯がある。つまり、現行の32カ国制の大会では、初戦を落としたディフェンディングチャンピオンがそこから蘇ったケースはないのである。

「W杯の連覇は最も難しいことだ。歴史が示しているように」

 試合前日の会見でヨアヒム・レーブ監督はそう話し、「それでも我々は野心とハングリー精神を失っていない」と続けた。しかし初戦からその難しさを痛感したドイツでは、意見の食い違いが表面化している。

守備の要フンメルスは不満を漏らした。

 メキシコ戦後、CBマッツ・フンメルスは「7、8人も攻撃に参加すれば、守備の安定感よりも攻撃力が際立って当然だ」と、ドイツのテレビ局『ZDF』に不満を漏らした。

「これは何度もチーム内で訴えてきたことだが、何も変わらない。我々の守備時の補完性は、残念ながら良いものではない。自分とジェローム(・ボアテンク)だけで対処しなければならない時が多すぎる。メキシコがあれほど効果的に逆襲を仕掛けられたことの要因は、そこにある」

 たしかに一理ある。メキシコがカウンターに転じた際に、緑のシャツの数が相手を上回っていたのは、ロサーノの得点シーンだけではない。特にドイツのサイドバックは高い位置を取って積極的に攻撃に参加するため、その裏のスペースを狙われていた。

【次ページ】 レーブは再生の道筋を見つけられるか。

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