松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹「もっと吹いてほしい」
上位総崩れの中で耐えた全米初日。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/06/15 11:55
急遽変更したドライバーは、むしろ好調だった。スコアそのものよりも感触を重視することも多い松山英樹はどう感じているのだろうか。
悔しいというより、納得がいかない表情。
折り返し後もチャンスは作れそうで、なかなか作れなかった。パー5の5番は風次第では2オンが狙える数少ないチャンスホールの1つとされている。だが、フェアウェイから「(グリーンまで)行けばいいなと思って」握った5番アイアンのショットはグリーンのぎりぎり手前で止まり、第3打のチップショットもバーディーパットも、どんどん干上がって硬さを増したグリーンの表面でゆらゆら揺れるように転がり、ここでもスコアは伸ばせなかった。
7番(パー3)では、2度目の3パットでボギーを喫し、5オーバーの75、46位タイで終えた初日。
「ここまで崩れる内容じゃなかった」
松山は悔しさを滲ませるというより、どこか納得がいかないという顔をしていた。
ドライバーは割れても、感覚は残っていた。
ドライバーのヘッドが割れたショックと実戦初使用のドライバーをバッグに入れて臨んだ不安。松山は、それらを自力で掻き消し、窮地を乗り越えた。それどころか、ドライバーショットの感触はむしろ良く、「(キャロウェイの)ドライバーが割れる前に、いい感覚を見つけられたので良かったと思う」。
物体は壊れてしまったが、掴んだ感触、身に付けた感覚はドライバーを変えても失わなかった。アイアンショットも良かったという。ショットの出来栄えから言えば、5オーバーを喫するほどの内容ではない。それならば、なぜ、5オーバーになってしまったのか。
苦戦したところは「全部です」。断続的に吹く風やグリーンの硬さといった自然環境やコースコンディションは、誰もが同じ条件だからと松山は常に言う。
2度の3パットは「何かが良くないから入らないんでしょうね」と、具体的な答えは出てこない。
面積は広げられたが、周囲のラフを刈ってツルツル状態にして、ボールをホールドせずに周囲へ落としてしまう今年のシネコックヒルズのグリーンに翻弄されたのか? グリーン周りとグリーン上が課題なのか?
「そんなに悪いとは思ってないけど……スコアにならなかった」