松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹「もっと吹いてほしい」
上位総崩れの中で耐えた全米初日。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/06/15 11:55
急遽変更したドライバーは、むしろ好調だった。スコアそのものよりも感触を重視することも多い松山英樹はどう感じているのだろうか。
まだ誰にもわからない攻略ルート。
なかなか攻略ルートが見えない。なかなかキーポイントがわからない。それがシネコックヒルズの難しさなのか。
「知らないです」
松山の返答に苛立ちが籠った。そう、初日を終えた今の段階で、それはまだ誰にもわからない。わからないから難しい。
この日、復活優勝を期待されていたタイガー・ウッズは8オーバー、101位と出遅れた。
優勝すれば生涯グランドスラムとなるフィル・ミケルソンは7オーバー、ジョーダン・スピースは8オーバー、ローリー・マキロイは10オーバー。
トッププレーヤーたちがこぞって大きく出遅れた初日。「なぜ、苦戦した?」「どこがシネコックヒルズの難しさか?」の問いに明確に答えられる選手はいないだろう。残る3日間は、その答えとその対処法、克服法を探す旅になる。
「もっと吹いてほしいです」の真意は?
一難去ってまた一難。松山にも、他選手にも、いろんな風が吹きつける。そしてシネコックヒルズの上空に吹く風は、とても気まぐれで意地悪だが、今日の敵が明日の味方に変わることもある。
「(風は)もっと吹いてほしいです。自分も崩れると思うけど、トップにいる選手が崩れていけば、楽しくなるじゃないですか」
「(明日、グリーンは)難しくなると思いますけど、そのぶん、ピンポジションは易しくなったりするかもしれない。それはわからないので、少しはいいスコアで回って、週末を迎えられるように頑張りたい」
百戦錬磨だからこそ、ポジティブに開き直り、風とともに歩む――。そんな松山の明日に、いい風が吹いてくれることを祈る。