松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
全米OP前、松山英樹の口調に変化が。
「気持ちだけは前向き」とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/06/14 14:30
練習ラウンドも、松山英樹の表情は悪くなかった。全米オープンへ向けて順調なステップを踏めているということなのだろう。
「まあ、風次第じゃないですか?」
全米オープン開幕を控えた今、その確信が松山の中にあるかと言えば、それは今なおないだろう。試合の中で試し、挑み、そして好結果を生み出すまでは、彼の中に自信も確信も生まれようがない。
だが、好結果につなげるための詳細なコースチェック、綿密なゲームプランは最大限の力を尽くして実行する。それが、松山流の備え方だった。
今年のシネコックヒルズは前回大会より500ヤードほどコースが伸ばされ、全長7445ヤードのパー70。それは決して短くはないが、近代のクラブやボールを駆使して飛ばす昨今の若いトッププレーヤーたち、そして松山にとっても攻略不能な長さではない。
「まあ、風次第じゃないですか?」
つまり、風次第では攻略できる。そう読み取れる。
一見コースの難易度は下げられているが……?
過去大会ではフェアウェイ幅は平均26.6ヤードに絞られていたが、今年は41.6ヤードまで広げられている。
フェスキュー群のラフは、タイガー・ウッズいわく、「1995年、2004年は4~6インチぐらいあったけど、今年は全然違う(短い)」。
グリーンは前回より30%も面積が拡大されているが、大きくなったグリーンは、そのぶん、ピンを切るバリエーションを豊富ならしめたことを指している。
現地を訪れている青木功いわく、「グリーンは大きくなったけど、そのぶんグリーン周りは(ボールを周囲へ)落としてくるだろ?」
距離は攻略可能な範囲。ラフは短くなり、フェアウェイは広くなり、グリーンは大きくなり、一見、楽になったかに見えるシネコックヒルズ。
しかし、そのどこかに、過去大会とは異なるワナが仕込まれている。
それを見出し、どう攻めるか。どう止めるか。そこに勝負のカギがある。