【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
Bリーグで得た経験をバレー界にも。
プロと実業団の「ハイブリッド」策。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph bySports Graphic Number
posted2018/06/15 07:30
5月下旬、都内でVリーグのGMたちを前に2時間にわたり研修会を行った。
「地域密着」が引き起こしたスポーツ渋滞。
新リーグに所属する企業チームは、男女ともその母体は大きな企業が多く、地元の企業にサポートしてくださいとお願いしても、素直に受け入れられる環境とは言い難いでしょう。地元の企業がサポートする以前に、その企業そのものが大きく、強い存在ですからね。
ただ、地元(地域)の皆様とのふれあいや、地元の来場者を増やしていくことは重要です。地元のファンが「おらがチーム」で応援できる態勢や環境は整えたい。
企業チームだと難しい面もあるでしょうけれど、ここでハイブリッド型の1つの成功例ができれば、バレーボール界のみならず、他のスポーツにも通用するはずです。
特に、日本のスポーツ界は企業を母体とする企業チームが多く、会社の経営状態によって廃部に追い込まれるパターンもこれまで多々ありましたから、そういった現状を改善できる1つのモデルになるのではないでしょうか。
同時に、現在日本では、バスケットはもちろん、サッカーやラグビーなど、様々な競技の地域密着型クラブが日本各地に存在しています。その数は300を超えるとも言われています。まさに「スポーツ渋滞」が起こっているわけです。
しかし、ハイブリッド型はその渋滞を解消する術にもなるはずです。地域には入っていくけれど、「助けてくれ」ではなく、入るけれど求めない。だから渋滞から外れた形で生存できる。そういう意味では、ハイブリッドにチャレンジすることは難しいことではありますが、意義やモチベーションはとても大きいと思います。
Bリーグで得た経験を他分野にも。
この研修会でひとまず、バスケットボール界の事例を含めたハイブリッドの在り方を指南するという役割はできたかなと考えています。
私は日本プロバスケの夜明けに携わってきて、Bリーグの理事やバイスチェアマンにも就任し、クラブ運営の成長も行ってきました。ここ5~6年はいろいろな苦労もありましたが、その経験はプライスレスです。
こうして、バスケット以外のスポーツにも携わったり、いろいろなチャレンジができることはありがたいと思っていますし、日々勉強させていただいています。この経験が日本のスポーツ界の発展のために、少しでも役に立つのであれば、これ以上、幸せなことはありません。
(構成・石井宏美)