スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平の世界と大谷以外の世界。
彼が戦う強者たちを検証する。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/06/09 07:00
投打ともに主力として十分な成績を残す大谷翔平。彼が戦う相手は、恐ろしいほどの個人能力を持っている。
10勝、200奪三振もクリアできそう。
この数字を、大リーグ全体の奪三振率ランクに挿入してみると、7位に相当する(やはり規定投球回数に足りないドジャースの前田健太は11.70)。ちなみにいうと、大谷よりも上位に並ぶのは、マックス・シャーザー(ナショナルズ)、ゲリット・コール(アストロズ)、クリス・セール(レッドソックス)、ジェイコブ・デグロム(メッツ)というお馴染みの顔ぶれだ。彼らはそろって、9回あたり奪三振12個以上というハイスコアを叩き出している。
被安打率を見ても、大谷はなかなかめざましい。9回あたり6.36という数字は、もし規定回数に達していれば、ノーラに次いで第8位に相当する。このカテゴリーでは、ジャスティン・ヴァーランダー(アストロズ)、コール、シャーザーがトップ3を占め、セベリーノも6位に食い込んでいる。
大谷が新人王を獲るとすれば、いま挙げた2部門での健闘が評価されてのことになるだろう。残り100試合のうち、17~19試合に先発してクォリティ・スタートを継続できれば、規定投球回数の162にぎりぎりで到達する可能性がある。10勝、200奪三振というボトムラインもおそらくはクリアできるだろう。
規定打席到達はやや難しいか。
一方、打者・大谷が規定打席数に到達するのはむずかしいのではないか。チームが62試合を経過した時点で129打席というペースだと、最終的には340前後の打席数になると見るのが妥当だからだ。
6月5日現在のスタッツは、114打数、33安打、打率2割8分9厘、6本塁打、20打点、長打率5割3分5厘、OPS=.907。このなかでは、長打率とOPSが(もし規定打席数に到達していれば)大リーグ全体でトップ20に食い込める成績だ。
ただ、問題はここまで28打数4安打と苦にしている左投手を打てるようになるかどうかだろう。現状を克服できなければ、打者としての出場機会はかなり減らされる可能性がある。