スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平の世界と大谷以外の世界。
彼が戦う強者たちを検証する。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/06/09 07:00
投打ともに主力として十分な成績を残す大谷翔平。彼が戦う相手は、恐ろしいほどの個人能力を持っている。
「二刀流完遂」は相当の難事業。
ちなみに、'92年10月生まれのムーキー・ベッツ(レッドソックス)のOPSは1.187、92年9月生まれのホゼ・ラミレス(インディアンス)のOPSは1.026の高水準だ。新人王争いの強敵グレイバー・トーレス(ヤンキース)も、146打席ながら、長打率5割6分5厘、OPS=.924と大谷を上回る数字を残している。
こう見てくると、大谷翔平の「二刀流試運転」の前には、いろいろと難題が立ちはだかっていることがわかる。規定投球回数や規定打席数などは気にせず、「投打ともまずまずの合格点獲得」というレベルでよしとするのか。
それとも、意外に早い時点で、打者兼任に見切りをつけ、投手をメインとする路線(「強打の投手」という位置づけ)への変更が打ち出されていくのか。性急な結論は出したくないが、「二刀流完遂」は、開幕前の予想を超える難事業のようだ。大谷翔平の武運長久を祈りたい。