太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
“ニコ超”出展、試合をグローブ座で。
フェンシングのチャレンジは続く。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byJAPAN FENCING FEDERATION
posted2018/06/08 07:00
ニコニコ超会議に出展したフェンシング。その積極的な活動で認知度アップを目指す。
BMXで起きた自然発生的な拍手。
中でも感動したのは、BMXの会場で、難しい技にトライして失敗をしたライダーたちに観客が惜しみなく拍手を送るシーンです。勇気を振り絞ってチャレンジしたけれど、失敗して転倒、全身を擦りむき、地面に叩きつけられたまましばらく動けない。そんなときに、観客はそれぞれに、スタンディングオベーションで彼の勇気を讃えるのです。
その自然発生的な応援の拍手、称賛の拍手を目にして、涙が出そうになりました。
この文化は、もしかしたら東京オリンピックでアーバンスポーツがもたらしてくれるレガシーではないか、と思うのです。
日本には、こういう文化が果たして根付いているでしょうか。
なんでも横並びの応援。横の人たちの動作を見て、それを真似るように拍手をしていたり。
サッカーで、選手がシュートを外すと、溜め息をついていたり。
テニスで、選手がミスをすると“あーー”とがっかりした声を上げたり。
そうではなくて、自分が声を上げたいときには自由に叫び、シュートを打ったことやチャレンジしたこと、勝利や成功といった結果だけでなくプロセスを評価してあげられる文化を、スポーツ界から日本全体に広げていくことができれば、どんなにいいことか、と思います。
フェンシングもアーバンスポーツに!
フェンシングというスポーツ自体についていえば、勝負が一瞬で決まりますし、「成果ではなく過程を評価する」場面は少ないかもしれません。それでも、こういった文化が広がっていけば、フェンシング会場であっても、周りの目を気にせず、観客のみなさんがそれぞれに声を上げ応援するシーンが、東京五輪で見られるようになるはずです。
ちなみに、フェンシングは、これらアーバンスポーツとは現在のところ一線を画していて、FISEに参加しているわけでもありません。でも私は、この中にフェンシングも飛び込んでいきたい、と思っています。テクノロジーと融合したエクストリーム版、アーバンスポーツ版のフェンシングを、来年のFISE広島大会でみなさんにお見せできるように、少しずつ準備を進めているところです。楽しみにしていてください。