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「自分たちのサッカー」回帰ではなく。
岡崎慎司の危機感と議論すべき課題。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/02 11:30
ガーナ戦、岡崎は負傷からプレーできるまでの回復ぶりは見せたが、見せ場を作るには至らなかった。
今シーズン序盤戦ではゴール量産。
世界で戦える選手になるためには、国外に挑戦しなければならない。北京五輪で芽生えた想いを、ブラジルで改めて感じたに違いない。最高峰の選手が揃うプレミアリーグへの挑戦が明確な目標となり、'14-'15シーズンにはマインツで2季連続の二桁得点をマークしてプレミア移籍を実現させた。
それから3シーズン。プレミアリーグの優勝メンバーにはなれたが、常にストライカーとして、ゴールゲッターとして活躍してきたわけではない。
それでも身体能力勝負を強いられる不利な環境で、チームの役に立ち続けた。強力なライバルが加入して先発から離れることがあっても、最終的に、レスターの指揮官は勝つために岡崎を起用してきた。
チームメイトが輝くため、汗をかける男としてピッチへ送り込まれたのだ。
しかし、そういう評価に甘んじることなく、得点への執念は捨てなかった。それが'17-'18シーズン序盤、ゴール量産という形で実った。
ブラジルからの4年間が思い描いた通りだったわけではないだろう。それでもその時間が3大会連続のメンバー入りへと繋がった。
「W杯では手堅い試合をしなければ」
ブラジル大会を振り返って、勝利へもっと強くこだわるべきだったという悔いもある。たとえ勝てなくとも、勝ち点1を拾うような戦いをすべきだったと。もちろんベースは大切なものだが、「自分たちのサッカー」を捨ててでも、優先すべきことがあったのでは、という想いだ。
それはガーナ戦後の発言からも感じられた。
「相手がどういうふうに来るかわからないけど、ワールドカップでは、手堅い試合をしなければいけないこともある。そういったときには割り切った戦いも必要になる。もちろん前半みたいにタメを作った攻撃も必要だとは思う。でもそれだけじゃラチがあかない。“前だけでやってくれ”という時間帯も出てくるはずだから」
「簡単にボールを取られたら試合展開はキツくなる。でも今日の後半は、そういうことを悠長に言ってられない点差、時間帯だった。もっと悪あがきしないといけない部分がある」