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ワグネリアン&福永が制したダービー。
悲願達成の裏にあった人と馬との物語。

posted2018/05/30 07:30

 
ワグネリアン&福永が制したダービー。悲願達成の裏にあった人と馬との物語。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

福永祐一をダービージョッキーに導いたワグネリアン。人馬一体となったドラマこそ、人の胸を熱くする。

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

 5月27日、12万超の観衆が見守る中、日本ダービーを制したのはワグネリアン(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だった。

 友道調教師は2年前のマカヒキ以来2度目の優勝、手綱をとった福永祐一にとっては通算19回目の挑戦で初めての制覇となった。

 ワグネリアンに関しては当コラムでも第3回目(3月7日配信)で取り上げている。

 当時も記したがデビュー戦は2017年7月16日の中京競馬場。芝2000mのこのレースは前半67秒0という異例のスローペースとなり、ラスト3ハロンは11秒2-10秒9-11秒0の33秒1。これをワグネリアンは好位から32秒6という脚を繰り出して勝ってみせた。

2、3戦目は快勝も弥生賞と皐月賞では。

 2戦目は同年9月16日、阪神競馬場芝1800mの野路菊S。雨で馬場状態は“重”の発表。デビュー戦でみせた瞬発力がこの馬場では役に立たないかと思われたが、終わってみれば33秒0の脚を披露。2着に2馬身半の差をつけて連勝を飾った。

 3戦目は同年11月18日の東京スポーツ杯2歳S。重賞挑戦も初めてなら東京への輸送も初めてで、レース前には発汗がみられたが、結果的には過去2戦以上のパフォーマンス。2番人気に推されたルーカスを3馬身突き放し、単勝1.4倍の圧倒的1番人気に応えてみせた。当時、福永は「ダービーを狙える器だと感じている」と語ったものだ。

 ところが、その後、様相は変わってくる。

 今年3月の弥生賞。クラシック第一弾の皐月賞と同じこの舞台で、ワグネリアンは無敗馬対決に敗れてしまう。ここも快勝し4戦4勝となった昨年の2歳王者ダノンプレミアムから1馬身半、離されての2着に負けてしまったのだ。

 こうして迎えたのがクラシック第一弾の皐月賞だった。ダノンプレミアムがザ石により回避したことで、1番人気に推されたが、後方からの競馬に。その結果、差を詰めたものの7着に終わってしまったのだ。

【次ページ】 友道調教師と福永の厚い信頼関係。

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