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福永祐一、19度目でのダービー制覇。
「父への報告は顔を見てから」
posted2018/05/28 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kiichi Matsumoto
19度目の挑戦にして、ついに福永祐一がダービージョッキーになった。
検量室前で出迎えた友道康夫調教師は、ハンカチで目元を拭った。これが馬主として史上最多のダービー4勝目となり、淡々とした受け答えで知られる金子真人オーナーの目にも涙があった。
他馬の関係者やマスコミ関係者も拍手を贈った。「競馬の祭典」と言われる日本ダービーならではの光景だ。
「ふわふわして、地に足がついていない感じがします。これまでもGIを勝たせてもらっていますが、こんな気持ちになったのは初めてです」
涙は乾いていたが、珍しく、声がかすれていた。そのくらい、福永にとって特別な勝利だった。
「平成最後のダービー」となった第85回日本ダービー(5月27日、東京芝2400m、3歳GI)を、福永祐一が騎乗した5番人気のワグネリアン(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。1番人気に支持されながら7着に敗れた皐月賞の雪辱を果たした。
8枠17番を引いて「目の前が真っ暗に」。
半馬身差の2着は皐月賞馬エポカドーロ、3着は16番人気の伏兵コズミックフォース。ともに無敗で臨んだ1番人気のダノンプレミアムと2番人気のブラストワンピースは、それぞれ6、5着に敗れた。
本番3日前の木曜日に枠順が発表され、ワグネリアンは8枠17番という外枠だった。
友道調教師は「目の前が真っ暗になった」と言い、福永は「ぼくの代わりに友道先生が全部言ってくれた。おかげで気が楽になりました」と笑顔を見せた。ダービーでは内枠の馬が好結果を出す傾向があるのだが、福永は「最悪の枠」を引いたことで、かえって腹を括ることができたという。
「いろいろな選択肢があったのですが、それがかなり狭くなった。この乗り方でなければいけない、と。それを一番いい形にハメ込むことができました」