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サンウルブズを3カ月半追いかけて。
スーパーラグビー初勝利は必然だった。
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2018/05/17 11:30
サンウルブズの記念すべき今季初勝利は、ホーム秩父宮での出来事だった。涙を流しているファンの姿も見られた。
20万のペルシア軍に挑む300人のスパルタ兵。
そして何よりも、サンウルブズが負け続けた一番の理由は、単純に相手チームの方がこちらよりも強かったことだと、個人的には思うし、間違ってもいないと思う。
まず、明らかに身体のサイズが一回り違う。当たり前だがどの選手もラグビーを熟知している。ワラビーズ、オールブラックス、スプリングボクス、世界の最高峰に位置付けられる代表チームでレギュラーを張っている選手がどのチームにも何人もいる。
とにかくどのチームも、どんだけ強いんだよ、と思うほどに強い。スタート地点で一番弱いのはサンウルブズ、これは卑下するわけでも謙遜するわけでもなく、ただの事実だった。
おまけにその一番下に位置するチームが、国内のスケジュールの事情で参加15チームの中で最もキャンプインが遅く、他チームが通常2、3カ月かけて準備してくるところに、わずか1カ月足らずの準備で挑むのだから、ある意味で勝てるわけはなかったのだ。
プロップの浅原は映画のスリーハンドレッドに自分たちの置かれた状況をたとえた。20万のペルシア軍に挑む300人のスパルタ兵、非常にわかりやすく、実感のこもった表現だと思う。
勝ってほしい、ではなく勝つはず。
レッズ戦は1週間のバイウイーク(お休み)を挟んで、ニュージーランド遠征の2週間後に行われた。遠征では、優勝争いの常連であるクルセイダース、2016年覇者であり今シーズンも今までのところ最強と評されるハリケーンズと対戦した。
これまで書いてきたことと若干矛盾するし、試合の後で語ること自体後出しじゃんけん的な言葉であることを自覚して書くと、僕はサンウルブズはレッズに勝つと強く確信していた。
勝ってほしい、ではなく、勝つはずだった。