フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュア世界王者が統計学と医学を。
ネイサン・チェン、エール大入学へ。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/05/14 10:30
イベント会場でのネイサン・チェン(右端)。左端はフィギュアの五輪銀メダリストのポール・ワイリー、その隣はサラ・ヒューズの妹のエミリー(元米国代表)で、2人はハーバード卒。
専攻は「統計学」で将来は医大も視野に。
専攻は何にするのか、と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「統計学を専攻して、同時に医学進学課程(Pre-med)の必須科目も取っていく予定です。統計学はビジネス、医学、教育などあらゆる方面で広く活用できる学問なので」
将来的には医大に進学したいというチェン。父は医学博士号を取得しており、姉の1人も医大に進学したという彼は、教育を大事にする一家で育ったのだという。
だが現実的に言って、アメリカの大学は入学より卒業が難しい。まして世界でもトップレベルの大学にフルタイムで通いながら、競技スケートを続けていくことは楽ではないに違いない。過去には、1952年にディック・バットンがハーバード大学に在学しながら2度目のオリンピック金メダルを手にした前例もあるが、今とは時代が違う。
ハーバードに入ったガオは結局引退に。
近年では、やはり中国系アメリカ人のクリスティナ・ガオ(2012年スケートアメリカ銀メダリスト)が2012年の秋からハーバード大学に入学し、しばらくスケートと両立させていたが、やはり競技の成績は伸び悩んだ。結局ガオは2014年シーズンを最後に学業を優先させるために競技を引退した。
チェンにとっても、エール大学進学は初めての体験である。
「実際にどうなるかは、とりあえずやってみないとわかりません。学期が始まったら、また色々なことが見えてくると思います」とチェン。
今のところは、この秋のGPシリーズにも出る予定なのだという。
「おそらくスケートアメリカは必ず出ると思う。2試合目は、スケジュール的にフランス杯が一番可能性が高いです」