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BリーグNo.1の守備力を支えるもの。
琉球はCSで台風の目になれるか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/05/11 08:00
昨季は栃木でファイナルMVPに輝いた古川孝敏。タフなDFと流れを引き寄せる3Pで琉球をけん引する。
交流戦の日程変更が琉球の追い風。
昨シーズンのCSの準決勝、東地区の栃木ブレックスと西地区(現在は中地区)のシーホース三河が戦った試合で、こんなことがあった。
当時西地区だったシーホース三河はCS準決勝で、栃木ブレックスに1戦目、そして勝ち抜けを決める3戦目で敗れて涙をのんだ。
Bリーグは東、中、西の3つに地区が分かれているが、首都圏に強いチームがひしめいているために東地区のレベルが高く、一方で西地区は力が劣る。
強いチームとの対戦から時間が開いてしまい、高いレベルでの試合に適応できなかったことが敗因の1つだったという言葉が、三河の選手の口からは聞かれた。
昨シーズンは他の地区と対戦する交流戦がシーズンの中盤に固まっており、シーズンの終盤は同地区との対戦が続いた。それゆえ三河は、試合内容が悪くても地力の差で勝ててしまう試合が少なからずあった。
しかし、今シーズンから日程が変更。交流戦がシーズンを通して行われるようになった。
その結果、琉球はかくも厳しい日程に“恵まれた”わけだ。
リーグ最高のディフェンス力。
チームを束ねる佐々宜央ヘッドコーチ(HC)は、強豪とは地力の差があると認めつつも、そのなかで何を起こせるかを考えている。
「去年優勝した栃木ブレックスがそうですけど、リバウンドとルーズボールを大切にして、ポゼッションゲーム(得点の取り合いではなく、自分たちの攻撃回数を増やして、相手の攻撃回数を減らす展開)に持ち込んで、ディフェンスをしっかり頑張れれば、どのチームでもチャンスをもっていける」
琉球はディフェンスのチームだ。1試合平均失点は、リーグで唯一70点を下回る67.7点。2位のアルバルク東京とも3.4点の差がある。
つまり琉球の試合は、ロースコアになりやすい。点の取り合いになれば試行回数が増え、戦力の差がスコアにそのまま表れがちだ。しかしロースコアとなると、戦力の差以外の要因に左右される側面が多くなる。
さらにいえば、守備は攻撃と比べて調子の波も少ない。計算ができるのだ。CSのような短期決戦では、それが大きな力を生む可能性もある。