バスケットボールPRESSBACK NUMBER
BリーグNo.1の守備力を支えるもの。
琉球はCSで台風の目になれるか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/05/11 08:00
昨季は栃木でファイナルMVPに輝いた古川孝敏。タフなDFと流れを引き寄せる3Pで琉球をけん引する。
退場した選手とハイタッチをかわすHC。
佐々HCはこう話す。
「チャレンジャーだから開きなおってやるというのではなくて、僕たちはプロセスを大事にしてやっていきたいなという思いがあります」
最終節となった5月5日のジェッツ戦で、象徴的なシーンがあった。
センターのヒルトン・アームストロングが4Qの開始15秒の時点で5つ目のファウルをとられて退場した後のことだ。
この試合のジャッジはファウルの判定が極端に厳しく、ゴール下の激しい競り合いにことごとく笛が吹かれていた。それでファウルがかさんだアームストロングだが、退場の場面では怒りをしずめるように走ってベンチへ戻った。もし抗議するようなことがあれば、出場停止などの罰則が科されかねない。そうするとCSも響く可能性もある。
佐々HCはアグレッシブなプレーを見せていたヒルトンをねぎらい、手を差し出した。そして、2人はハイタッチをかわした。結果は退場だったが、ヒルトンのプレーはチームが求めているものだからだ。
「バスケットボール人生で初めて」
「自分のバスケットボール人生のなかで、ああいうことをしてくれたHCは今までいませんでした」
NBAでの経験も豊富なセンターは、こうも語っている。
「HCは、自分の背中をいつでも優しい気持ちで支えてくれます。自分が退場した時にああいう行動をしてくれるのは、自分にとってすごく心の支えになっています」
アームストロングがジェッツでプレーしていた昨シーズン、CS準々決勝で審判への抗議でテクニカルファウルをとられ、さらに味方選手と言い合いをしたことでチームが敗れた際に批判を受けた。
しかし、そうした感情を抑えきれない姿はもうない。これもまた、成長のプロセスを踏んできた証だろう。
レギュラーシーズンと比べものにならないプレッシャーを受けるCSでは、そんなディテールが勝敗を分けることもある。琉球のように守備を売りにするチームであればなおさらのことだ。