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3トップより凄いリバプールの魅力。
聖地アンフィールドの“ご加護”。 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byGetty Images

posted2018/05/08 10:30

3トップより凄いリバプールの魅力。聖地アンフィールドの“ご加護”。<Number Web> photograph by Getty Images

リバプールの聖地アンフィールド。選手は「This is Anfield」の額縁に迎えられ、ピッチに立つ。

ホームチームのドアがなぜか小さい理由。

 このスタジアムツアーで、私が感動したものがあります。

 それはロッカールームのドア。アンフィールドではホームとアウェイのロッカールームが向かい合っていて、そのドアの大きさが微妙に違うというのです。

(世界ふしぎ発見!風に)ここでクエスチョン。

 ホームとアウェイ、ドアが小さいのはどちらでしょう、そして、その理由は? ここで正解が分かったあなたは自慢していいですよ。

 ドアが小さく作られているのはホームチーム、つまりリバプール。その理由を聞いて、私は思わず唸りました。

「キックオフが迫り、気合いに満ちた両チームの選手たちが同時に出てくるでしょ。そのとき小さなドアから出てきた選手は、相手選手からどう見える?」

 そっか……。ドアが小さければ、相対的にそこから出てくる選手たちが、相手に大きく見えるのです。

『This is Anfield』をバンバン!

 ここから先にも、“勝利への仕掛け”が施されています。

 ロッカールームから出てきたリバプールの選手たちは、通路上の『This is Anfield』と書かれた額縁をバンバン叩いてピッチへと向かいます。

「おまえら、ここがどこだか分かってるよな」とプレッシャーをかけるのです。

 そして最後の仕掛け、おどおどしながらピッチに出てきたアウェイチームに、世界一の歌声が降り注ぐ――。

 キックオフの笛が鳴らないうちから、アウェイチームは戦意を挫かれ、リバプールは勝利に大きく近づいているのです。

 ドアの大きさがどれだけ勝敗に影響を与えているか、正直なところ私には分かりません。しかし先人の思いが詰まった知恵が、何十年もチームを支え続けている――。

 そう考えると、胸が熱くなるのです。

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