サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ハリル記者会見に新事実は何も出ず……。
日本サッカーの未来が見える試合とは。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2018/04/28 12:00
予定時間を大幅に超えて熱弁を振るったハリルホジッチ氏だが、浮き彫りになったのは協会との見解の相違だけだった。
田嶋会長は「多くの議論があった」と。
E-1選手権で韓国に惨敗した昨年12月にも、田嶋会長は「多くの議論があった」と明かしている。
このタイミングでの解任も検討したと理解できる発言だが、「3月は(W杯前)最後の重要な遠征で、そこでいい方向へ行くきっかけをつかみたい」との結論にひとまず着地する。ところが「チームが固まるようにはならなかった」ために解任へ踏み切った、というのがサッカー協会側の論理である。
「3月のマリ戦とウクライナ戦の結果次第で解任する可能性もある」とあらかじめ伝えていれば、ハリルホジッチ前監督も少しは納得できたかもしれない。ただ、そこまで伝える義務があったとも言い切れない。
代表にせよクラブにせよ、監督が雇用先と結ぶ契約は不確定要素をはらんでいる。わずか1試合の結果で解任されこともあるのが監督で、ハリルホジッチ前監督ほどの経験を持った人物なら、それぐらいは理解しているはずだ。
「突然の出来事で、事前に何も知らされていなかった」とまくし立てたくなるのは分かるが、「マリ戦とウクライナ戦はレギュラーが7、8人いなかった状況で、選手を試していた」としても、内容も結果も不十分だったのは厳然たる事実だ。
W杯対戦国に対してデュエルで勝てるのか?
何よりも根本的な問題となったのは、ハリルホジッチ前監督の志向したサッカーと日本人選手の特徴との乖離だ。
タテに速いサッカーも、デュエルで負けないことも、現代サッカーでは必要条件と言っていい。ただ、W杯で対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドの選手たちとデュエルの真っ向勝負を挑んで、日本人選手が勝てるのか。間違いなく劣勢である。
ゲームの序盤は優勢に立つことができるかもしれないし、互角に持ち込めるかもしれない。それでも、時間の経過とともにより疲弊していく選手が増えるのは、相対的に考えて日本側である。