マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園より胸躍る無名の逸材探し。
福岡に高次元剛腕、天才二塁手が!
posted2018/04/23 16:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sports Graphic Number
センバツ高校野球がその幕を閉じて、半月になろうとしている。
センバツとちょうど同じ時期、九州や四国ではすでに春の県大会が始まっていて、私は毎年、センバツを途中で切り上げ、西のほうへ、たいていは九州へ流れていくのが、いつもの「3月末の過ごし方」になっている。
いまやたけなわと盛り上がる甲子園を後にして西へ向かう気分というのは、たとえば縁日でにぎわうお祭りの神社をひとり後にして、テレビのナイター中継が始まる時間に合わせて家路につく。そんな気分に似ていると思う。私の子供時代には、テレビのナイターは夜8時からの「巨人戦」と決まっていた。
思いきり後ろ髪を引かれているのだが、一方で、行く手に新たな“ときめき”を感じてもいて、悲しいような、それでいて、どこか嬉しいような、なんとも微妙な違和感なのである。
ツクシンボのように逸材がニョキニョキ。
なぜ、センバツ途中なのに九州へ向かうのか……というと、九州の高校野球が、年によってはセンバツより興味深いからだ。“選手”を見に行く私のような者にとって、春の九州の高校野球は、実に胸躍るイベントとなる。
こんなところにこんな選手が……! 春の野っ原のツクシンボのように、あっちでニョキニョキ、こっちにもニョキニョキ。
そんな中から現れたのが、宮崎日大・武田翔太(現ソフトバンク)であり、日南学園・中崎翔太(現広島)であり、大分商・源田壮亮(現西武)であり、この先台頭してくるはずのオリックス・山本由伸(都城高)、日本ハム・田中瑛斗(柳ヶ浦高)なのである。
今回は、第7日目の第3試合の5回が終わり、グラウンド整備が始まったところで甲子園をあとにした。 阪神電車で三宮に出て、新神戸から新幹線で九州に向かう。
翌日は、北九州市民球場で10時から福岡の県大会を2試合。小倉高vs.鞍手高、九州国際大付属vs.自由ケ丘高。天気はよさそうだが、屋根のない昔のままの「小倉球場」だ。あしたは暑いぞ。