マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園より胸躍る無名の逸材探し。
福岡に高次元剛腕、天才二塁手が!
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySports Graphic Number
posted2018/04/23 16:30
中村貴浩のような隠れた逸材がいる県大会。高校野球好きにとって見逃せない公式戦だ。
天才は得だ。凡打でもポイントを稼ぐ。
最初の打席から、右中間二塁打、中前安打、一塁強襲安打。3本続いた快打は、いずれもファーストストライクを“ノンパワー”な印象でサッと振り抜いておきながら、打球はあっという間に外野に達していた。
4本目、5本目が欲しくて、ついボールを追いかけてしまった試合終盤。そんな幼さをチラッと見せてくれたのが、逆に「伸びしろ」を感じさせてくれた。むしろ凡打がポイントを稼いでいた。
「天才」とは得なものだ。凡打までもが、ポイントを稼いでくれる。
もしセンバツに出場していたら、小倉高・河浦圭佑は、“右”では大阪桐蔭・柿木蓮に次ぐ評価を受けていてもおかしくない。
九州国際大付・中村貴浩なら、その快足と俊敏なフィールディングも併せた総合力で、大阪桐蔭・山田健太と共に、大会No.1二塁手に推されていたはずだ。
そんな逸材たちが隠れていればこそ、私は「春の九州」についつい誘われてしまうのだ。
無名の逸材発掘の旅は、このあと、熊本、鹿児島へと続いていく。