スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
快進撃球団と若手新監督。
大リーグの新旧対決が面白い。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/04/21 09:00
かつて巨人に在籍したキャプラー監督。今季からフィリーズを率いている。
元巨人の“奇人”キャプラーが監督に。
42歳の新監督は、もうひとりいる。フィリーズのゲイブ・キャプラーだ('75年7月生まれ)。'05年には読売ジャイアンツに在籍したが、成績は踏んだり蹴ったりだった。その後は、大リーグ復帰→シングルAの指導者→ふたたび大リーグといばらの道を歩んで2010年に引退。さらに解説者やイスラエル代表チームの監督などを経て、'14年にはドジャースのファーム・ディレクターに就任した。
キャプラーは、しばしば奇人と呼ばれる。ジムでは250キロのバーベルを挙げ、ITに精通している。厖大なデータを戦術の基礎に置き、選手を激しく叱咤する。これが吉と出るか、凶と出るか。チーム再建も仕上げの段階に入り、投手ではアーロン・ノーラ、打者ではリース・ホスキンスという注目株が出現してきただけに、監督ともども、このチームが上昇気流に乗る可能性はある。
若い監督を起用する潮流は、これからも顕著になるだろう。2017年のワールドシリーズは、アストロズのA・J・ヒンチ('74年5月生まれ)とドジャースのデイヴ・ロバーツ('72年5月生まれ)の対決だった。今季は、前掲の3人以外に、'73年3月生まれのアーロン・ブーンもヤンキースの新監督に就任した。
百戦錬磨の老練監督も好調な戦いぶり。
そんな彼らを迎え撃つ格好になるのが、カブスのジョー・マドン('54年2月生まれ)、インディアンスのテリー・フランコーナ('59年4月生まれ)、エンジェルスのマイク・ソーシア('58年11月生まれ)、ツインズのポール・モリター('56年8月生まれ)といった百戦錬磨の老練監督だ。いずれもポストシーズン進出を狙えるチームだが、そろって好調なスタートダッシュを見せている。
この新旧対決は、今季の大リーグを占う重要なポイントとなるはずだ。間に挟まった世代にも、ブルワーズのクレイグ・カウンセル('70年8月生まれ)、ダイヤモンドバックスのトーリ・ロヴーロ('65年7月生まれ)、ナショナルズの新監督デイヴ・マルティネス('64年9月生まれ)、マリナーズのスコット・サーヴィス('67年6月生まれ)など、面白い人材が少なくない。
そんな彼らが、これから先、どんな知恵比べと腕比べを見せてくれるのか。才能豊かな選手たちの活躍もさることながら、監督たちの采配にも注目していきたい。