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松坂大輔、巨人戦に見た投手本能。
復活へのハードルはあくまで勝利。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2018/04/12 10:30

松坂大輔、巨人戦に見た投手本能。復活へのハードルはあくまで勝利。<Number Web> photograph by Kyodo News

4月5日巨人戦、550日ぶりの1軍登板は5回3失点で敗戦投手。翌日6日には次回登板へ向けて、出場選手登録を抹消された。

彼へのハードルを低く設定し過ぎでは?

 あと1イニングでQSクリアー、不運な打球、味方の失策……。すべて事実だ。ただ、だからといって「松坂は復活した」という声が挙がるのも安易というか、松坂という投手に対して、いささかハードルを低く設定しすぎてやしないかとも思う。

 不運、失策は野球につきものだ。そうした自分にはコントロールできないことも含め、フィールドを支配してきたのが松坂だ。

 過去の言動や振る舞いから見ても、松坂が「野球の神様」の存在を信じているのは疑いないが、それはご利益やご加護を望んでいるのではなく、野球に真摯に向き合っている自分を、そしてここ数年のように試練から逃げずに立ち向かう自分を見守ってほしいと考えているのではなかろうか。

 プロにとって一軍のマウンドは、誰かに立たせてもらう場所ではなく自分の力で立つ場所だ。そういう意味ではキャンプからの投げ込み数、オープン戦での登板機会はともにチームメートと比べてはるかに少なく、そこには「松坂だから」という声もまとわりつく。

「粘れたとは思うけど悔しさしかない」

 決して特別待遇というわけではないのだろうが、チームへの無形の貢献度が必要以上に強調されている感は否めない。ここから先に求められるのは有形の貢献度、すなわちチームに勝利をもたらす結果を残し「やっぱり松坂」と言わしめることだ。

 5イニングのうち3度は先頭打者の出塁を許し、うち2度は失点に直結している。オープン戦から顔をのぞかせていたクイックモーションのバランスの悪さは、そのまま3盗塁へとつながっている。

 つまり、いきなり走者を許すと、容易に得点圏へと進まれてしまうということだ。松坂が勝つための課題は明白。だからこそ、降板後の松坂は唇をかんだ。

「オープン戦と公式戦は違うけど、それに近い状態で投げられた。特別な感情もなく、フワフワした感じもありませんでしたが、勝ちにつながらなかった。悔しさしかありません。何とか粘れたとは思うけど、僕みたいなタイプだと(走者を許せば)球数が増える。何とかしたかった」

【次ページ】 球速は落ちたが経験、知識は増えた。

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