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松坂大輔、巨人戦に見た投手本能。
復活へのハードルはあくまで勝利。
posted2018/04/12 10:30
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
松坂大輔の第1戦は、19年前と同じストレートで始まった。4月5日の巨人戦(ナゴヤドーム)。1番・立岡宗一郎が見送った外角球は、残念ながら球速が正しく表示されなかった。全96球で終えた投球では最速が142kmだった。
ちなみに今なお語りぐさとなっている19年前のデビュー戦は4月7日。本拠地での登板を望む西武本社を、監督の東尾修が説き伏せた。日本球界の宝。そのフォームや投げっぷりを「東京ドームのマウンドの方が合う」と総合判断したものだった。
片岡篤史に対して155kmを投げ込んで伝説となっているが、1番・井出竜也への初球も149kmを計測していた。当時の選手名鑑によると身長180cm、体重78kg。今も童顔は変わらないが183cm、93kg。トレーニングにより体の厚みは増しているが、球速が落ちているのは年齢からくる衰えというより、右肩の故障で苦しんだからに他ならない。
敵味方関係なく松坂にリスペクトが。
日本球界での公式戦登板は、ソフトバンク時代の2016年10月2日の楽天戦(コボスタ宮城)以来。先発となると西武時代の'06年9月26日ロッテ戦(インボイスドーム)までさかのぼる。大いに注目されたマウンドの結果は、すでに広く報道されている。5回を8安打、3失点。5三振を奪い、3四球を与えた。
1回の失点は立岡の内野安打がきっかけだし、3回は野手の間に落ちる不運な安打が続いた。それでも無死満塁の大ピンチにマギーを遊ゴロ併殺打に打ち取った(この間に2点目は失う)し、3点目はなおも続いた2死三塁から遊撃手の京田陽太の一塁悪送球によって失った。
「松坂さんというスーパースターと初めて対戦できることはすごく楽しみでした。緩急があり、なかなか自分のスイングをさせてもらえませんでした」
共通の知人を通じて昨オフに初めて松坂と食事する機会に恵まれた坂本勇人は、四球、右前打、投ゴロの3打席をこう振り返った。
一方、適時失策してしまった京田は「松坂さんの久しぶりの登板をぶち壊してしまった」と猛省。松坂の黒星もそうだが、1点差で敗れた試合だけに責任を強く感じていた。
バッテリーを組んだ大野奨太も「何とか粘っていた。あそこで打たれないのはさすが」と話したように、自責点2での敗戦投手は責められない。