球道雑記BACK NUMBER
ロッテ好スタートと“走塁改革”。
井口監督が一、二軍全員に徹底中。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/04/12 08:00
井口監督の現役時代は日米通算295本塁打のスラッガーでありながら、盗塁数も同224個で2度の盗塁王を獲得している。
繰り返し仕掛けた偽走スタート。
まずは1回裏の攻撃だ。ロッテは荻野貴司のヒットと積極的な走塁、さらに4番・井上晴哉の一発で2点を先制した。続く鈴木も、攻撃の手を緩めなかった。
ライト前ヒットで出塁すると、ある動きで相手バッテリーに揺さぶりをかけ始めた。
鈴木が何を仕掛けていたか?
答えは偽走スタートである。
「偽走は、今年から多く入れていますね。(盗塁で)いつ走っても良いように準備をしているのがひとつと、今年はチームでもどんどん走っていくのを公表しているので、相手チームは僕でさえも走ってくるかもと思っていると思うんです。そこで、相手バッテリーに色々考えさせようと、偽走を仕掛けています。それは僕だけじゃなくチームみんなが取り組んでやっていることですね」
走塁改革、その種を明かしてくれた。
鈴木はその後の3、4球目でも偽走を続けて、次打者・菅野剛士に有利なカウントを作っていた。すると4球目、菅野は甘く入った真ん中内寄りの直球を強振。打球はライト線へと転がって、偽走でスタートを切っていた鈴木は、迷うことなく一塁から一気に生還。貴重な3点目を挙げた。
「2つ先の塁を狙うのが必要」
鈴木が言葉を続ける。
「初回で3点目を獲れたのは大きかったです。やっぱりあの場面、2点で終わるのと3点で終わるのは大きく違います。美馬さんと僕らはこれまで相性も悪かったし、初回から一気に叩けたのは大きかったと思います。相性の悪い投手からヒットを続けるのはなかなか難しいことですし、あそこで三塁に止まっていたら、その後の一本が出たかどうかも分からないですし、それだけ点が入る確率も低くなります。
だからこそ1つ先の塁だけじゃなく、2つ先の塁を狙うのが必要になってきます。それが今年の方針でもあるので、その形をあの場面で実践できたのかなと思いますね」
積極的な走塁でアウトになっても責めはしない。今年、井口監督が徹底的に意識づけているのはそこだ。