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マスターズで敗者たちは何を得たか。
ファウラー、松山らが持ち帰るモノ。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2018/04/10 07:00
20代最後のマスターズで、大きな手応えを得たリッキー・ファウラー。彼を「敗者」と括ることは果たして正しいだろうか。
「心の底からおめでとうが言える」
メジャー優勝はファウラーの悲願。2014年はマスターズ5位タイを皮切りに全米オープンでも全英オープンでも2位タイ、全米プロでは3位タイ。悔し涙を何度も飲み、8度目の出場となった今年のマスターズでも優勝という結果を出すことはできなかった。
だが、ファウラーは爽やかな笑顔だった。
「これまでの負けと今回とは違う。メジャーで勝つ準備が僕にはできていることを今回初めて実感できた」
心の底からそう思えたからこそ、子供のころからのライバルに「心の底からおめでとうが言える」。そんな敗者を目の当たりにすれば、この敗者が勝利に近づきつつあると確信できた。
スピースは求めるゴルフを実現した。
リードから9打差で最終日を迎えたジョーダン・スピースは、首位との差はあまりにも大きいと感じ、ラウンドに入るまでは「ストレスばかり感じていた」そうだ。
だが2015年のマスターズ覇者は、我慢のゴルフを続ければ、オーガスタではロースコアが出せることを知っていた。
「リーダーボードはなるべく見ないようにして、自分のゴルフに集中し、ロースコアを出すことだけを目指すと決めた」
出だしから2連続バーディーで発進し、前半だけで5バーディー獲得。後半さらに4つのバーディーを奪い、ついに首位のリードを捉えた。
しかし、18番のボギーでスピースの優勝は遠のき、最終的にはファウラーにも抜かれて3位になった。それが「結果」であり、スピースは敗者で終わった。
だが、「自分が求めたゴルフ、オーガスタで求められるゴルフができたことがうれしい。それに、ネバーギブアップの精神があれば、9打差からキャッチアップすることも可能であることを実感できた」。
その手ごたえは、すでにメジャー3勝のスピースをさらに強くたくましくしてくれるはずだ。