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ウッズが浮かべた笑み、松山英樹は?
マスターズ初日1オーバーを自己分析。
posted2018/04/06 14:40
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
マスターズ初日、1番ティに立ち、ティオフできたこと、18ホールを回ることができたことを心底、喜んでいた選手が少なくとも2人いた。
1人は、3年ぶりにマスターズに戻ってきたタイガー・ウッズ。そしてもう1人は、前日のパー3コンテストでホールインワンを出し、大喜びで万歳しながら後ろ向きに走った途端、左足首を捻ってその場に崩れ落ちたトニー・フィノーだ。
2015年以来のマスターズを迎えたウッズにオーガスタの大観衆は優しく、温かかった。昨年4月に4度目の腰の手術を受けて戦線離脱し、DUI(飲酒などによる運転)による逮捕劇など、公私に渡って“いろいろあった”ウッズは、一時は引退さえ臭わせる発言もしていた。
だが、昨年12月のヒーロー・ワールド・チャレンジに出てみたら「やれそうだと感じた。あの試合以前は、今年のマスターズ出場を現実的に考えることはできなかった」。
そして今年1月から米ツアー5試合に出場し、ラスト2試合で2位と5位。もはやウッズが「復帰」を目指す段階を終えて「復活」、いや「復活優勝」を目指す段階へと進みつつあることは誰の目から見ても明らか。
マスターズ開幕前にウッズは優勝候補の筆頭に挙がったほどで、マスターズ過去4勝のウッズなら3年ぶりの出場であっても、いきなり13年ぶりの復活優勝を遂げるのではないか。そんな期待が膨らんでいた。
1オーバー29位発進でも嬉しそうだった。
そして初日。3番でバーディーを先行させたウッズは、その後に4つのボギーを叩き、復活優勝は遠のいていくかに見えた。だが、14番では2メートルのバーディーパットを沈め、16番では経験と知識を活かし、熟知しているグリーンの傾斜を使ってピン6メートルに寄せ、バーディー獲得。
1オーバー、73で29位発進は、復活優勝を狙う上で素晴らしいスタートとは言い難い。だが、ウッズはうれしそうにこう言った。
「ここ数年は、チャンピオンズ・ディナーに出席するだけのためにオーガスタに来ていた。でも、そのオーガスタでこうしてプレーできたことは、本当にうれしいし、とても素晴らしい」
ウッズの笑顔には喜びから生まれ出る活力が溢れていた。