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マスターズで敗者たちは何を得たか。
ファウラー、松山らが持ち帰るモノ。
posted2018/04/10 07:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
勝負の世界は結果がすべてだと言われる。それは、確かにそうである。
今年のマスターズで優勝という結果を出し、勝者に輝いたのはパトリック・リード、ただ1人だけ。それ以外は全員が敗者だ。
だが、敗者にもそれぞれに掴んだものはある。言い換えれば、負けて何かを掴むからこそ、勝者になる日へ近づくことができる。
今年のマスターズのサンデーアフタヌーンに勝者になることができなかった選手たちは、自らの敗北が自らの勝利へのアプローチであること、そうしなければいけないことを感じつつ、それぞれにオーガスタを去っていった。
ファウラーはリードの強さを知っている。
マスターズ最終日。首位のリードから5打差の9アンダーからスタートしたリッキー・ファウラーは、「8番、9番で2連続バーディーを取ったとき、まだチャンスはあると思って後半へ折り返した」。
アーメンコーナーの12番、13番、さらにパー5の15番でバーディーを奪い、最終ホールの18番ではピン2メートルに付けて、さらなるバーディー。リードに1打差まで詰め寄り、ちょうどそのころ18番ティに立ったリードにプレッシャーをかけた。
ジュニア時代から幾度もリードと勝利を競い合い、プロ入り後はライダーカップやプレジデンツカップといったチーム対抗戦で一緒に戦ってきたファウラーは、リードの強さや戦い方をよく知っている。
「パトリックが最終日にオーバーパーを叩くような崩れ方をするはずはないとわかっていた。パトリックは本物のファイターだ」
だからこそファウラーは、リードが最終ラウンドをスタートした時点での「14アンダー」を自身の最低限の目標に掲げ、その通り、5つ伸ばして通算14アンダーでホールアウト。
それは結果的にはリードに1打及ばず2位に甘んじた。だが、メジャーの最終日の優勝争いという肝心の場面で、設定した目標をきっちりクリアしたことはファウラーの自信と手ごたえになった。