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部活週休2日制に都立の強豪校は?
「夏休みにまとまった休みは無理」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2018/04/06 16:30
強豪校になると週末=試合。サッカークラブ顔負けのスケジュールをこなしている。
ことの発端は教師の働き方改革?
また今回のガイドラインについては、まず前提として、今回の週休2日制は「生徒のため」ではなく「教員のために」設定された経緯がある。齋藤氏はこうも話していた。
「週休2日制、夏休みなどの長期休業中に部活も必ずまとまった休みを取るようにする、という指針を出していることは知っています。ただこれは結局、働き方改革と連動したものなんですね。
教員という労働者のことを考えたら、そういった制限が入ることは喜ばしいのかなと思います」
齋藤氏が懸念する、2つのポイント。
今回のガイドライン導入について、齋藤氏が懸念点として挙げていたのは2点ある。公式戦の試合数、そして校内に試合を開催できるグラウンドがあるかどうかだ。
都東久留米総合を例にとると、関東大会、インターハイ、高校選手権、そして年間を通じたリーグ戦(高円宮杯プレミアリーグ、プリンスリーグ、都道府県リーグなど)の公式戦に臨み、「例年だと公式戦で25試合くらい戦うことになります」(齋藤氏)とのこと。
1年間で単純計算すれば2週間に1回ほどの試合ペースとなるが、高校にはもちろん定期テスト期間がある。テスト期間、公式戦がないオフシーズンを除けば、週1ペースでの試合となる。特にトレーニング環境として過酷な夏が、部活の“過密日程”となる。
「6月末までにインターハイ予選をやって、7月に入ると期末テスト期間があります。それに加えて8月のお盆に選手権の1次予選が控えているんですね。そこへの準備が必要なので、部活として夏休みにまとまった休みを取る、というのは難しくなるんです。
テスト期間があるから、選手権の予選を前倒すことはできないですし、逆に9月に後ろ倒すと、選手権の日程が詰まってしまいます」
現状、インターハイや甲子園の日程が変更される、という可能性は低い。大会日程が変わらないまま現場の練習時間・日数を制限されれば、無理が生じることは明らかだろう。