プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本流の技術で打った初ホーマー。
大谷翔平が真に全米に迎えられた日。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAP/AFLO
posted2018/04/04 18:20
札幌の地でも見せた笑顔が、ロサンゼルスでも弾けた! 仲間の笑顔も溢れ、すっかりチームの一員となった印象だ。
すり足に近い打撃フォームに修正!?
「独特な投げ方のピッチャーが多いメジャーで、どうやってその間合いをしっかり取るか……」
大谷は言う。
「実際の対戦もすごく大事なんですけど、ビデオを観たりするのも大事じゃないかと思う。それは(打席に立てなくても)できることじゃないかと思います」
そうして暇があればビデオで数多くの投手の投球スタイルやタイミング、ボールの動きを見て、スタイルを少しずつ修正してきた。
その結果が現在のすり足に近い打撃フォームなのである。
「自分の中ではスタイル的には大きく変わってない」
「長くボールを見ることができてるんじゃないかと思います。(フォームは)見た目には大きく変わっていますけど、多少、動きを省いただけ。スイングの軌道を変えたりとかはしていない。
自分の中では、スタイル的にはそれほど大きく変わってはいないんですけどね」
それでも第1打席の本塁打に続いて第2打席は同じトムリンからライナー性の右前安打。見逃し三振を挟んだ8回の第4打席も、右腕・マカリスターの152キロのフォーシームをライナーで中前に運ぶマルチの3安打と、続けざまに結果を出してきた。
「ゴロが多い原因が何なのか、というのを常に頭に入れておけば、別にボールの下からすくう必要もない。
自分の思った通りのバッティングをしながら、日本ではしっかり(打球を)打ち上げることもできていたわけですから。何がこうさせているのかな……という部分をひとつずつ反省していけばいいのだと思う」
この日、本塁打を放ったトムリンはメジャーの投手としては比較的、投球のテンポや間合いも普通で、ボール自体もそれほど激しく動くタイプではない。そう言う意味では、どちらかといえば日本の投手に近いスタイルの投手ではある。
ただ、二刀流ゆえの数少ない打席の中で、できることを1つひとつこなして着実に結果へと結びつけていく――そういう意味では、この日の本塁打を含めた3本の安打は、“打者・大谷”にとってはとてつもない自信につながるものだったはずだ。