プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本流の技術で打った初ホーマー。
大谷翔平が真に全米に迎えられた日。
posted2018/04/04 18:20
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
AP/AFLO
二刀流でメジャーリーグに挑戦しているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が現地時間4月3日(日本時間同4日)、本拠地デビュー戦となったクリーブランド・インディアンス戦の初回、第1打席にメジャー1号となる右越え3ランを放った。
勝利投手が2日以内に出場した試合の第1打席で本塁打を打ったのは1921年のベーブ・ルース以来。大谷がまた1歩、伝説のヒーローへと近づいた瞬間だった。
ベンチで“サイレント・トリートメント”の洗礼。
これもまた“メジャーの洗礼”だった。
大歓声を浴びながらダイヤモンドをゆっくりと回る。
「気持ち良かったです」
本拠地デビュー戦の第1打席で放ったメジャー初本塁打。3つのベースを蹴って、最後にしっかりとホームを踏みしめた大谷が三塁側のエンゼルスベンチに戻ると、そこにあったのは「沈黙」だった。
ナインは大谷を見ようともしないで、ベンチからグラウンドに視線を送っている。祝福の声もなければ、それどころか誰も声すらかけない。あえてヒーローを無視するメジャー流の“サイレント・トリートメント”が、逆に最大の賛辞だったのである。
「最初は何だかよく分からなくて、何かあったのかなと思いました」
戸惑った大谷がたまらずイアン・キンズラー内野手の肩を揺すったのが合図だった。ナインが一斉に背番号17を取り囲む。
「ナイス!」
「良くやった!」
次々に祝福の声が飛び、スタンドでは観客が総立ちとなって歓声が止まらない。
このスタンディング・オベーションは、大谷がベンチを出てヘルメットを掲げて応えるまで止むことはなかった。